IPアドレス開示と投稿者の特定

発信者情報開示請求(発信者情報開示に係る意見照会書)が届いた場合の3つの対処法

2021.09.22

ネット上の掲示板やSNS を利用していると、ある日突然、「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いて驚くことがあるかもしれません。しかし、発信者情報開示に係る意見照会書を無視すると、のちのち高額な損害賠償を請求される恐れもあるため、早急に適切な対策を講じることが必要です。

この記事では、発信者情報開示請求に関する書類が届いた場合の対処方法を詳しく解説していきます。対応に困っている方は参考にしてみてください。

誰にでも届く可能性のある「発信者情報開示に係る意見照会書」

誰にでも届く可能性

SNSやネット掲示板に誰でも気軽に意見を発信できる現代では、いつ自分が加害者になるか分かりません。自分が何気なく書き込んだ投稿によって、誰かが不快な思いをしたり被害を受けたりする可能性は常にあります。

発信者情報開示請求とは

発信者情報開示請求に伴い送られてくる書類は、正式には「発信者情報開示に係る意見照会書」といいます。

プロバイダ責任制限法に則り、プロバイダから送付される書類です。例えば5ちゃんねるやホスラブなどの掲示板に誰かを攻撃するような内容を書き込んでしまった際、権利を侵害された当人が開示請求手続きを進めている場合に加害者のもとに届き特定されてしまえば、損害賠償請求などの手続きを取られる恐れがあります。

被害者は、サイト管理者(コンテンツプロバイダ)に投稿者のIPアドレスなどを照会し、そこから投稿者の契約しているプロバイダ(経由プロバイダ)を割り出して投稿者の情報を開示するよう請求します。情報開示の請求を受けたプロバイダが、個人情報を開示する前に相手方の要求に応じて良いかどうかを投稿者本人に確かめる書面が「発信者情報開示に係る意見照会書」というわけです。

相手に開示される情報

相手方に開示される情報は、以下の6点です。
● 氏名
● 住所
● メールアドレス ※登録制サイトの場合
● 電話番号(登録した番号)※登録制サイトの場合
● タイムスタンプ(書き込んだ口コミの時間や日時を証明する電子証明書)
● IPアドレス(通信機器を識別するための番号)

発信者情報開示請求に同意すると、上記情報が請求者に開示されることになります。

発信者情報開示に係る意見照会書が届くタイミング

届くタイミング

「発信者情報開示に係る意見照会書」は、書き込みをしたサイト管理者(コンテンツプロバイダ)もしくは自身がインターネット契約しているプロバイダ(経由プロバイダ)から送られてきます。発信者情報開示請求がどちらから届いたかで、置かれた状況を知ることが可能です。

サイト管理者から届いた場合

自身が書き込みを行ったサイトの運営会社からIP開示に関する意見照会書が届いた場合、相手は投稿者を特定するための前段階にいると考えられます。

一般的に、サイトの運営会社は投稿者の住所や氏名を把握していません。そのため、被害者はまずサイトの運営元に、「IPアドレス」や「タイムスタンプ」といった通信記録の情報開示を求めます。これは投稿者が使ったプロバイダを特定するための情報です。

本来はこの段階で、投稿者に「発信者情報開示に係る意見照会書」が送られてくるはずです。

しかし、運営会社が投稿者の個人情報(住所・氏名・メールアドレスなど)を把握していない場合、この手続は省略されます

プロバイダから届いた場合

自身が契約している通信会社のプロバイダから「発信者情報開示に係る意見照会書」が届くのは、被害者が投稿者のIPアドレス等を把握し、プロバイダに個人情報の開示請求を行っている段階です。

契約者に関する個人情報はプロバイダが把握しているため、請求に同意すると、相手方へ自身の氏名や住所などの個人情報が開示されます。こうなると損害賠償請求などの訴訟を起こされる可能性もあるため、言い分がある場合は書面でその旨反論することが出来るので、自己判断で同意せず弁護士へ相談した方が賢明です。

発信者情報が開示される条件と期間の目安

条件と期間の目安

発信者情報開示請求が届くのは、自身が書き込んだ投稿内容が名誉毀損やプライバシー権侵害などに該当する場合です。仮に意見書が届いた段階で開示請求を拒否しても、相手方が発信者情報開示請求の訴訟を起こし、裁判所が開示命令を下した場合は氏名や住所などの情報が開示されてしまうため、何らかの対策を講じることが重要です。

発信者情報が開示される条件

裁判所が問題となる書き込みの発信者情報の開示を認めるのは、書き込んだ投稿内容の違法性が明らかな場合です。

● 名誉毀損:「〇〇は不倫している」「〇〇が万引きをしていた」など、公然と事実を指摘し名誉を毀損した場合
● 侮辱:「〇〇は枕営業をしている」「〇〇は直視できない程のブス」など、公然と人を侮辱した場合
● 肖像権侵害:隠し撮りなど同意を得ずに撮影した画像や写真の投稿
● プライバシーの侵害:実名や住所などの個人情報の暴露

上記のような口コミを書き込んだ場合は違法性があると判断されて、自身が投稿者であることを特定される可能性があります。

発信者情報が開示されるまでにかかる期間

被害者がプロバイダやサイトの運営会社に対して投稿者の情報を開示するように求めた場合、裁判所の判断が下されるまで3〜4ヶ月程度かかります。

ただし、状況によっては早まる場合も少なくありません。このため、情報開示を拒否するのであれば、スピード感を持って動くことが重要です。

届いた発信者情報開示請求を無視・拒否することは可能?

無視・拒否することは可能?

届いた発信者情報開示請求への返答は任意のため、無視することは可能です。無視しても特に罰則を受けることはありません。もちろん開示に同意する義務もないため、拒否の返答をすることも可能です。

ただし、開示を求める要求を拒否または無視したからといって、それで終わりではありません。サイト運営者やプロバイダの判断で開示されるケースや、被害者側が裁判を起こして裁判所の命令により開示を求められたり、損害賠償請求時に追加費用を請求されたりするケースもあります。また、回答せずに期限である14日の期日を迎えると、同意していなくても相手方に個人情報を開示される恐れもあります。

このため、「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いた時は独断で行動せずに、弁護士に相談するのが賢明です。

発信者情報開示請求が届いた場合の対処法

届いた場合の対処法

自身の元に発信者情報開示請求に関する書類が届いたら、回答期限内に行動に移すことが重要です。状況ごとに対応方法をご説明します。

自分に非がある場合

明らかにプライバシー侵害や名誉毀損にあたるような書き込みをしてしまった場合は、開示請求に応じて相手との示談交渉を行うことが得策です。

情報開示に応じ、できるだけ早く謝罪することで、事態が大きくなる前の解決が期待できます。

身に覚えがない場合

届いた書類に記載されている書き込み内容を投稿した覚えがない場合は、開示請求を拒否しても何ら問題はありません。

しかし、プロバイダやサイト運営者はアクセスログなどの情報を調べたうえで個人を特定しているため、このようなケースは非常に稀です。本当に身に覚えがないのか、しっかりと記憶を辿って確かめてから判断するようにしてください。

開示請求に納得がいかない場合

自身の情報を開示するように請求されている理由に納得がいかない場合は、弁護士などにアドバイスを求めることをおすすめします。

もちろん開示を拒否することも可能ですが、書き込みに違法性がないことを明確にしないと、結果的に損害賠償額が増加する恐れがあります。

「発信者情報開示に係る意見照会書」の回答書の書き方

回答書の書き方

回答書は同意の有無によって書き方が異なる箇所があります。以下の表に具体的な記入方法をまとめたので、参考にしてみてください。

回答書の書き方

問題となる書き込みを投稿したサイトの運営元やプロバイダからは、意見照会書を受領した日から回答期限内に回答するように求められます。

回答書は訴訟時の資料として使用場合があるため、慎重に書く必要があります。さらに仮に同意しない場合は具体的な理由と証拠を添えて回答しなければ、立場が悪くなってしまうため注意が必要です。

回答書の返信について不安や不明点があれば、弁護士などに相談することをおすすめします。法的根拠に基づいての回答書の記入や証拠をそろえることで、解決に近づく可能性があります。

法律法人アークレスト法律事務所では、様々なサイトの発信者情報開示に対応してきた実績があるため最適な解決方法を導きだすお手伝いが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。