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浮気や不倫をネットで暴露するのは犯罪か?
2019.08.24浮気や不倫をされると、非常に腹立たしく、その怒りのやり場を失うものです。慰謝料等で賠償されたとしても心の傷は癒えないもの。相手に復讐をしたいと考えて、インターネットへの書き込み等で浮気や不倫を暴露したいと考えることもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、浮気や不倫をネットで自己投稿し、暴露した場合に問われる罪について説明します。
浮気や不倫をネットで暴露したい、もしくはしてしまった方はぜひ参考にしていただければと思います。すでに暴露してしまった方のための対策も解説しますので、ぜひ読み進めてください。
目次
目次
1.浮気や不倫をネットで暴露してしまう状況とは?
浮気や不倫をネットで暴露することは、様々な刑法上の犯罪に該当する可能性があります。告訴されて逮捕され、有罪となれば罰金刑や懲役刑に処されるリスクがあります。また、刑事罰とは別に、暴露された方からの損害賠償請求を要求される可能性も大いにあるでしょう。
まずは具体的にあり得るケースをご紹介いたします。
1-1.SNSで実名入り暴露
多くの方が利用しているInstagramやTwitter、FacebookなどのSNSに、浮気や不倫の事実を実名などの個人情報とともに暴露したら、暴露された方への打撃は甚大です。場合によっては、複数の人に拡散されて当事者だけでなく、勤務先や取引先、親族などありとあらゆる人間関係に、浮気や不倫の事実が知れ渡ってしまいます。SNSでの暴露は拡散力が強いため、一度書き込んでしまうと書き込んだ本人でもその拡散を止めることは難しいこともあります。
1-2.匿名掲示板で暴露
匿名掲示板で、実名入りの浮気や不倫の告発を見かけることがあります。匿名掲示板は、SNSほどの拡散力はありませんが、状況によってはまとめサイトなどに転載されてしまい多くの人の目に触れてしまいます。また、個人の削除申請に応じない掲示板では、投稿が長期間にわたって残ってしまいます。
※ホスラブの匿名書き込みを削除する方法は、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。1-3.会社や取引先にバラす(暴露する)
社会的に大きな影響を与えるのが、会社に暴露することです。特に社員同士の浮気や不倫の場合、それぞれが処分を受ける可能性があり、社会生活への影響は甚大。社員同士でなくても、浮気や不倫をした不誠実な人物として扱われてしまいます。
1-4.近所に言い触らす
相手の日常生活に深刻な打撃を与えるのが、近所への暴露。浮気した夫、浮気した妻として近所に知れ渡ってしまったら、今後の近所づきあいや子どもの友達関係にも悪影響を与えます。賃貸住宅なら引っ越しも可能ですが、持ち家の場合はその噂と一生付き合わなければなりません。
2.暴露の書き込みをした場合は、どのような罪になる?
暴露を書き込んだ場合、書き込んだ内容は双方の関係によって、様々な罪に問われます。まずは刑事罰を確認してみましょう。
2-1.名誉毀損罪
名誉毀損罪は、相手の名誉を毀損した際に適用される可能性がある罪です。まずは名誉毀損罪の条文を確認してみましょう。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損(きそん)した者は、事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する。
条文をさらに分かりやすく説明します。名誉毀損罪は、「公然と」「事実を摘示し」「名誉を毀損」することで、成立します。
公然とは、不特定もしくは多数の人に知らせることです。インターネットの書き込みや会社や近所への暴露は公然に該当するでしょう。「事実を摘示」とは、簡単に言えば浮気や不倫の内容を暴露することです。浮気や不倫が真実であっても虚偽であっても、法律上は「事実の摘示」といいます。さらに詳しくいうと、「真実か否かを証明できるもの」を「事実」と言います。「あの人は不倫している」という書き込みは、事実かどうかを証明可能です。それに対して、「あの人はぶさいくだ」という書き込みは個人の感想なので、証明は不可能。つまり、事実の摘示ではありません。
「名誉を毀損する」という場合の名誉とは社会的評価を言います。浮気や不倫を会社に暴露された場合、社会的評価が下落してしまいます。それを「名誉が毀損」された状態と考えます。
ただし、以下の3つの条件を満たしている場合は名誉毀損は成立しません。
- 公共性がある
- 公益性がある
- 真実である又は真実相当性が認められる
どういうことかというと、他人の名誉を毀損する真実の書き込みや投稿であっても、それに公共性や公益性がある場合は、名誉毀損罪は成立しないということです。政治に関する汚職問題や、企業の違法行為の告発などは、真実であれば名誉毀損罪が成立しない可能性があります。では、浮気や不倫の暴露はどうでしょうか?相手が一般人であれば、ほぼ、これらの3条件を満たしているとは言えず、不特定多数や多数の人に対して暴露してしまえば、名誉毀損罪が成立する可能性が高いでしょう。
名誉毀損罪で有罪になると、三年以下の懲役もしくは、50万円以下の懲役に処される可能性があります。書き込んでしまったら早急に対応しましょう。
※書き込みが名誉毀損に該当するかの判断基準と削除方法は、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。2-2.侮辱罪
侮辱罪は、名誉毀損のように「事実の摘示」は必要ありません。まずは条文を確認してみましょう。
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留または科料に処する。
名誉毀損罪は、事実の摘示が必要でした。真実かどうかを証明できる事柄が法律上の「事実」です。それに対して侮辱罪は、事実の摘示は不要とされています。浮気や不倫の暴露の場合は、「あの女はあばずれだ」、「あの男はろくでなしだ」といった内容が、侮辱罪に該当する可能性があると考えられます。
2-3.脅迫罪
脅迫罪は他人の財産や、身体、自由や名誉に害を加えると脅迫した際に成立する可能性がある罪です。条文はこちらです。
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
浮気や不倫の暴露によって脅迫罪に問われる可能性があるのは以下のような書き込みでしょう。
「○山○子は浮気をやめなければ、会社にバラす」
「○中○男は不倫の慰謝料を支払わなければ、殴る」
脅迫罪は、懲役刑に処される可能性もありますので、書き込んでしまったらすぐに対策が必要です。
3.刑事罰だけでなく民事上の責任を問われる可能性も
名誉毀損や侮辱罪、脅迫罪に該当する暴露を行なった場合、上記の刑事罰だけでなく民事上の責任を問われる可能性があります。それが、損害賠償請求です。慰謝料や実損害を求めて、訴訟を提起される可能性があります。また、名誉毀損罪等に該当しない場合でも、プライバシー権を侵害したら慰謝料を請求されることもあります。
名誉毀損等の慰謝料は暴露の悪質性や、拡散の度合いによって判断されますので、一概には言えませんが数十万円から数百万円程度と高額な損害賠償請求訴訟を提起される可能性もあるので、注意しなければなりません。
4.ネットに暴露の書き込みをしてしまったら弁護士に削除依頼を
ネットに暴露の書き込み見をしてしまったら、名誉毀損等で逮捕される可能性、そして民事で損害賠償請求訴訟を起こされる可能性があります。すでに暴露の書き込みをしてしまった方は、問題が大きくなる前に弁護士に相談しましょう。
4-1.まずは書き込みを削除する
暴露の書き込みをしてしまった場合、まずやるべきことは書き込みの削除です。TwitterやFacebook、Instagramであれば、自分自身での削除が可能です。ただし、スクリーンショット等で拡散してしまったものは削除できません。 管理人や運営者しか削除できないタイプの掲示板は自分で削除できないため、削除申請フォームから削除を申請することになります。しかし、掲示板の種類によっては時間がかかりなかなか認められません。書き込みを当事者に見られる前に削除したければ、時間との戦いですので、弁護士に削除交渉を依頼しましょう。
4-2.プロバイダから意見照会書が届いたら
プロバイダから意見照会書という書類が届いたら、すでに相手は損害賠償請求や刑事告訴の準備を進めていると考えてよいでしょう。この場合は、早急な対処が必要です。弁護士に対応を依頼した上で、示談交渉の用意を進めなければ、逮捕など最悪の事態に陥る可能性があります。
4-3.損害賠償請求を受けたら
相手から損害賠償請求の内容証明や訴状などが届いたら、時間的猶予はありません。同時並行で刑事告訴の手続きを進めている可能性がありますので、早急に対処して刑事告訴を食い止めなければなりません。逮捕されると、最大23日間も身柄が拘束される可能性があります。浮気や不倫で苦しんだ挙句に逮捕されるという悲劇は避けたいものです。
5.まとめ
浮気や不倫をインターネットや会社などで暴露することは、名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪といった刑事罰に問われる可能性があります。また、それらの不法行為やプライバシー権侵害などの損害賠償を請求されることもある非常に危険な行為です。
すでに、暴露の書き込みをしてしまった方は早急に弁護士に相談して、書き込みの削除や損害賠償請求、刑事告訴に備えた対策を行いましょう。まだ書き込んでいない方は、冷静になって書き込みを思いとどまりましょうね。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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