掲示板の誹謗中傷・書き込み削除

爆サイで誹謗中傷に遭ったら警察に相談できる?2つのケースから解決策を解説

2021.10.07
爆サイで誹謗中傷に遭ったら警察に相談できる?2つのケースから解決策を解説

地域に特化した巨大口コミ掲示板サイト「爆サイ」で誹謗中傷に遭った時、警察に相談することはできるのでしょうか。この記事では、どのような場合に警察が対応してくれるのか、また警察が対応してくれない場合はどうしたら良いのかを解説します。

爆サイの書き込みに関して警察への相談は可能か?

爆サイの書き込みに関して警察への相談は可能か?

爆サイに書き込まれた誹謗中傷被害は、警察に対応してもらえるのでしょうか。結論を言うと、相談できる場合と相談できない場合があります。それぞれのケースについて説明します。

警察に相談できるケース

爆サイで誹謗中傷の被害に遭った時、警察が相談に乗ってくれるのは、「刑事事件」に該当するケースです。

例えば、「お前の家族がひどい目に遭うぞ」という書き込みは、脅迫罪に該当する可能性があります。また、「殺してやる」などの書き込みは、実際に殺人事件へと発展する恐れがあるため、それを未然に防ぐことを目的に警察が積極的に動いてくれる可能性があります。

警察に相談できないケース

一方で、単に「○○はバカ」と書かれた抽象的な「悪口」の場合、警察では対応ができません。警察には「民事不介入」の原則があり、当事者間で解決すべき問題には介入できないためです。つまり刑事事件に発展する可能性のある悪質なケース以外は、警察に相談できません。

ただし、誹謗中傷によって売上が減少した等、実害が大きい場合には相談に乗ってもらえる可能性があります。

警察に相談できるケースの対処法

警察に相談できるケースの対処法

もし、あなたが爆サイ上で刑事事件に該当する誹謗中傷に遭ってしまったら、警察に被害届を提出しましょう。被害状況によっては、被害届提出のほかに刑事告訴をすることになります。警察で相談する場合の一連の流れを解説します。

1.被害届を提出するための準備

被害届を提出する準備として、爆サイ上に誹謗中傷が書き込まれた事実をなるべく客観的に証明できるようにしておきます。書き込みの部分のスクリーンショットを印刷したものと、スレッドのURLを用意しておいてください。あとは、それを身分証とともに警察に提出するだけです。

2.最寄りの警察署や交番に被害届を提出

被害届の用紙は、最寄りの警察署や交番でもらえます。用紙を受け取ったら、早速被害届を書いていきましょう。被害届の主な記載内容は、以下のとおりです。

  • 被害者の住所・職業・氏名・年齢
  • 被害の年月日時
  • 被害の場所
  • 被害の模様
  • 被害金品
  • (相手が分かっている場合)犯人の住所・氏名・人相・着衣・特徴等
  • 遺留品その他参考となるべき事項

この中でも、特に重要なのが「被害の年月日時」「被害の場所」「被害の模様」です。

「被害の年月日時」の項には誹謗中傷が書き込まれた日時を記載し、「被害の場所」には、誹謗中傷が書き込まれた「爆サイ」のスレッドのURLを記載します。そして、「被害の模様」に状況を説明しましょう。どのような誹謗中傷が書き込まれたか、それがいかなる犯罪に当たるかを主張して、警察の捜査の必要性を訴えるのが基本的な書き方です。

なお、被害の詳細を口頭で伝え、警察官に書き取ってもらう方法もあります。

告訴受理・捜査開始

爆サイの書き込みが名誉毀損罪や侮辱罪に相当する時は、被害届を提出するだけでなく、刑事告訴の手続きも取らなければなりません。刑事告訴は、加害者を処罰してほしいという、書面による被害者の意思表示です。名誉毀損罪や侮辱罪は親告罪といって、被害者側が加害者を処罰してほしいと訴えない限り罪には問われないため、この書類が必要になります。

刑事告訴をする際は、被害者が自ら告訴状を作成するか、口述した内容を警察官が告訴調書という書類にまとめます。

告訴状が提出されると、警察にはそれを受理する義務がありますが、実際には法的に妥当性があると判断した場合のみ告訴を受理します。告訴を受理したら、警察には事件の捜査をし、被害者にその結果を報告する義務が生じます。

加害者の逮捕・取調べ・起訴

刑事告訴を受理したとしても、警察が事件を立件するかどうかはわかりません。警察は、捜査によって被疑者(加害者)を特定し、罪を犯したと疑う十分な証拠が揃った時点で、必要であれば被疑者を逮捕します。

逮捕された被疑者は、逮捕から48時間以内に検察官に身柄を送致され、検察官による取調べを受けます。身柄を拘束された場合の勾留期間は最長で20日間です。

勾留期間の満期が来ると、検察官は起訴・不起訴を決定します。起訴されると、いよいよ刑事裁判が始まります。

この段階で、被疑者は起訴されるのを防ぐため、被害者側に謝罪をしたり償いをしたりして誠意を見せようとするのが一般的です。示談によって被害者側の告訴が取り下げられれば、被疑者が親告罪で起訴されることはなくなります。

警察が対応できない場合の相談先

警察が対応できない場合の相談先

爆サイの誹謗中傷を警察が事件として取り扱ってくれない場合には、どうすれば良いのでしょうか。実は、置かれた状況によっては警察に相談するよりも適した対応策があります。ここでは、警察以外の相談窓口をいくつか紹介します。

悩みや不安を相談したいなら「まもろうよ こころ」

「まもろうよ こころ」は、悩みや不安があって困っている時に気軽に相談できる公的機関やNPOを紹介する厚生労働省のサイトです。電話相談の窓口はもちろん、SNSでコミュニケーションが取れる相談窓口も紹介しています。

まもろうよ こころ|厚生労働省

自分で書き込みを削除したいなら「違法・有害情報相談センター」

総務省が支援する「違法・有害情報相談センター」は、インターネット上での誹謗中傷への対応策をアドバイスする相談窓口です。個人情報をネットに公開されたり、誹謗中傷を受けたりした時に、書き込みの削除を依頼する具体的な方法を教えてくれます。

相談員はインターネットに関する技術や制度等の知識と経験を持っているので、センターに連絡すれば丁寧にアドバイスしてもらえます。

違法・有害情報相談センター

削除依頼を代行してもらうなら「誹謗中傷ホットライン」

「誹謗中傷ホットライン」は、一般社団法人セーファーインターネット協会が運営しているサービスです。インターネット上に誹謗中傷があった場合、適切な処置をとるよう被害者に代わってサイト管理者に連絡してくれます。国内外を問わず、無料で削除依頼を代行してくれる団体です。

ネットの誹謗中傷 | セーファーインターネット協会 Safer Internet Association(SIA)

削除依頼の代行および賠償を求めるなら「弁護士」

はっきりとした解決を望むのであれば、ネット問題に詳しい弁護士に相談するのが適当です。

弁護士であれば、警察に提出する被害届や告訴状の作成、サイト管理者に対する対象レスの削除依頼、発信者情報開示請求制度を利用した投稿者の特定、それに損害賠償を請求する裁判などを代わりに請け負ってもらえるため、各手続きがスムーズに進みます

警察ではなく弁護士に依頼するメリット

警察ではなく弁護士に依頼するメリット

最初に説明したとおり、ネットに誹謗中傷の書き込みをされても、警察では相談に乗ってもらえないケースがあります。一方、ネットトラブルに対応できる弁護士や法律事務所に依頼すれば、刑事事件になるかどうかに関わらず、素早い対応が期待できます。

警察が取り扱えないトラブルにも対応可能

警察では、爆サイに書き込まれた誹謗中傷の内容に事件性がない限り対応ができません。弁護士は民事訴訟にも対応できるため、問題となる誹謗中傷の書き込みの削除依頼や、損害賠償を請求する準備など、法律に基づいた迅速な対応が可能です。

書き込みに対する法的な問題点を洗い出せる

ネットトラブルを扱う弁護士に相談するメリットのひとつは、爆サイ内に書き込まれた誹謗中傷がどのような法律に抵触するのかを具体的に指摘できることです。これにより、サイト管理者に削除依頼をする場合や、警察に被害届を提出する場合でも、筋道を立てて削除の必要性や受けた被害を説明することができます。

また、弁護士は損害賠償を請求することの妥当性も判断が可能です。

法的な手続きで誹謗中傷トラブルに対処できる

ケースによっては、爆サイ内で誹謗中傷の書き込みをした人物を特定し、損害賠償等で責任を問うことになります。それには発信者情報開示請求の手続きを進めていく必要がありますが、発信者情報開示請求も損害賠償請求も法的手続きです。

被害を受けた段階で弁護士に相談しておくことで、その後の法的手続きまでまとめて任せることができます。

弁護士法人アークレスト法律事務所は、これまでネット上のトラブルの解決に鋭意取り組んできました。ケースに応じて適切な対応を提案することが可能なため、誹謗中傷対策にお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。