詐欺被害はどこに相談すればいい?おすすめの相談窓口や料金相場を解説
ホスラブ投稿で逮捕もあり得る!?実際にあった事件・裁判事例
2021.01.22
ホストラブ(ホスラブ)は、キャバクラやホストクラブなど、ナイトワークについて情報交換ができる掲示板です。利用者は月間200万人と多く、匿名での書き込みや閲覧ができます。
情報交換の場として、利用者が多いことはメリットです。しかし、悪口・誹謗中傷が、拡散しやすくなるデメリットもあります。誹謗中傷を書き込むことで、裁判に発展したり逮捕されたりした事件もあるので、注意が必要です。
ホスラブ投稿で逮捕されるケースと、実際の事件事例、逮捕されたときの対応について説明します。
1.ホスラブ投稿で逮捕されるケースとは

ホスラブ投稿の誹謗中傷に対して、被害者が警察に告訴状を出す場合があります。告訴状が警察に受理されると、刑事事件として逮捕されることもあるので注意が必要です。
ここでは、ホスラブ投稿で逮捕されるケースについて解説します。
1-1.個人を特定できる情報を記載したケース
ホスラブで誹謗中傷を書き込んだ場合は、刑法230条「名誉毀損罪」や231条「侮辱罪」で逮捕されることがあります。名誉毀損罪は、公然の場で具体的な事実を記載し、相手の名誉を毀損した場合に成立します。また、具体的な事実でない内容に適用されるのは、名誉毀損罪ではなく侮辱罪です。
ホスラブの投稿で逮捕が成立するのは、誰の誹謗中傷かが明確な場合です。氏名はもちろん、住所や勤務先、源氏名でも個人が特定できる場合は、逮捕され罪に問われる可能性があります。
1-2.犯行予告など事件性があると判断されたケース
殺人や傷害などの犯行予告ととれる投稿をした場合は、刑法233・234条「業務妨害罪」や刑法222条「脅迫罪」で逮捕されるかもしれません。
書き込み内容を実行するつもりがなくても、書き込むだけで犯罪行為にあたります。
2.ホスラブ投稿による実際にあった事件・裁判事例

ホスラブ投稿が原因で逮捕される事件には、さまざまなパターンがあります。ここでは、実際にあった裁判事例を示します。
2-1.事例1 本人画像を無断使用して誹謗中傷した事件
SNSのプロフィール画像をホスラブに投稿し、誹謗中傷を書き込んだ事件が焦点です。書き込みをした人を特定するために、プロバイダに対して情報開示請求が認められました。投稿の内容は侮辱表現を多用しており、侮辱罪に該当します。[注1]
[注1]裁判所:平成29年(ワ)第4222号 発信者情報開示請求事件 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/840/086840_hanrei.pdf
2-2.事例2 ホームページ画像を無断使用して悪口を書き込んだ事件
お店のホームページに載っていたプロフィール画像を、無断でホスラブに投稿し、誹謗中傷を書き込んだ事件です。画像の著作権侵害として、書き込んだ人物の情報開示請求がとおりました。[注2]
[注2]裁判所:令和2年(ワ)第7411号 発信者情報開示請求事件 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/733/089733_hanrei.pdf
2-3.事例3 SNS投稿を無断使用して誹謗中傷した事件
原告がSNSに投稿した画像を無断使用し、ホスラブの原告名スレッドにて誹謗中傷を投稿した事件です。
原告の氏名をもじって、個人が特定できる状態で虚偽の内容を投稿したとして、書き込んだ人物の情報開示請求が認められました。[注3]
[注3]裁判所:令和元年(ワ)第31972号 発信者情報開示請求事件 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/732/089732_hanrei.pdf
3.ホスラブ投稿で逮捕されたときの対応

ホスラブに誹謗中傷を投稿してしまったら、事件として告訴状が出て逮捕されるかもしれません。ここでは、ホスラブ投稿で逮捕されたときの対応方法について解説します。
3-1.逮捕されたらすぐに弁護士に相談する
逮捕されると、留置場で身柄を拘束され、警察から取り調べを受けます。取り調べで話した内容は、裁判で証拠として扱われることもあるため、慎重な対応が必要です。
取り調べ前に弁護士への相談が認められているので、必ず弁護士を呼びましょう。弁護士のつてがない場合でも、当番弁護士制度を利用して弁護士に相談できます。[注4]
[注4]日本弁護士連合会:逮捕されたとき3-2.裁判になる前に被害者と示談交渉を行う
逮捕後の取り調べで起訴が決まると、裁判が開かれます。日本では刑事裁判の有罪率が99%を超えており、有罪になると前科が付いてします。そのため、裁判になる前に、被害者との間で示談交渉をおこなう方が賢明でしょう。
示談とは、被害者と慰謝料の取り決めをすることで、告訴を取り下げてもらう交渉です。示談は、民事事件のイメージが強いかもしれませんが、刑事事件も適用されます。
前科が付くと就職がしにくくなるなど、生活に影響が出るため、裁判を起こさないで解決する方法を選ぶとよいでしょう。
4.ホスラブ投稿で逮捕される前に書き込みを削除依頼する
ホスラブに誹謗中傷を書き込むことは、犯罪です。書き込みの内容によっては、民事事件として損害賠償請求されるだけでなく、刑事事件になって逮捕されることもあります。刑事事件で起訴されて裁判になれば、前科が付いてしまいます。
もし、ホスラブで悪口や誹謗中傷を書き込んでしまったら、すぐに書き込みの削除依頼をしましょう。ホスラブの削除依頼で受理されなかった場合でも、弁護士に依頼して削除してもらうことが可能です。
「逮捕されるかもしれない」と心配な場合は、まずは弁護士に相談ください。

監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。