ネットトラブル

YouTube(ユーチューブ)にアップされた違法な動画を、削除依頼する方法

2018.11.25
YouTube(ユーチューブ)にアップされた違法な動画を、削除依頼する方法

動画投稿サイトYouTube(ユーチューブ)に、第三者によって自分が映っている動画が掲載された場合、YouTube(ユーチューブ)側に依頼することで削除できることもあります。また 自分の著作物が無断でYouTube(ユーチューブ)に掲載されたときにも削除できるかもしれません。
個人が自分で削除をするには、YouTube(ユーチューブ)側に依頼する以外にも、不適切な動画をアップした者に直接削除依頼を送るという方法もあります。

1.どのような動画が違法になるのか

どのような動画が違法になるのか

YouTube(ユーチューブ)側がユーザー側からの依頼により削除するケースは、違法動画有害動画です。YouTube(ユーチューブ)が削除する動画は次の11種類です(*1)。

1-1.ヌードや性的な内容の動画

YouTube(ユーチューブ)はポルノやアダルト系の動画を掲載しない方針を示しています。自分で作成したオリジナルの作品でもNGです。ポルノ動画をYouTube(ユーチューブ)に報告すれば、削除される場合もあります。

1-2.有害で危険な内容の動画

子供が真似をすると大怪我をするような内容や、暴力を誘発する内容の動画も禁止しています。その他、爆弾のつくり方、窒息ゲームのやり方、覚せい剤を使っている様子などの動画も削除対象になります。

1-3.人を不愉快にする動画

人種や民族、宗教、性同一性などに対する暴力行為を助長する動画は禁止されています。

1-4.暴力的な内容

生々しい暴力的な内容の動画は削除対象になりますが、市民ジャーナリストなどが価値あるニュースを伝えている場合は、ケースバイケースで削除するかどうか判断します。YouTube(ユーチューブ)は市民ジャーナリストなどに「暴力的なシーンが必要不可欠な場合は、背景にある事情をしっかり伝えるようにしてほしい」と呼びかけています。

1-5.嫌がらせ動画

特定の人物への嫌がらせや攻撃になっている場合、YouTube(ユーチューブ)はその動画を削除するとしています。しかしYouTube(ユーチューブ)は、動画を閲覧して多少不愉快を感じる程度であれば、「無視してやり過ごしてください」と呼びかけています。

1-6.スパム、誤解を招く説明、詐欺

YouTube(ユーチューブ)はスパム行為、誤解を招く説明、詐欺的な内容の動画を禁じています。

1-7.脅迫

脅迫やストーキング、プライバシーの侵害に関わる内容は削除対象になります。YouTube(ユーチューブ)は、「脅迫に該当する動画をアップした者を永久追放する」と宣言しています。

1-8.著作権を侵害する動画

著作権者の許可がない著作物に関する動画は削除対象になります。

※ネット上で著作権侵害となるケースや削除依頼方法については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。

1-9.プライバシーを侵害する内容

YouTube(ユーチューブ)はプライバシーガイドライン(*2)を定めており、それに違反する内容の動画は削除されます。例えば、顔写真、音声、フルネーム、マイナンバー、銀行口座、自宅住所、メールアドレスなどが対象になります。

1-10.なりすまし動画

別の個人になりすました動画は削除対象になります。

1-11.子供の安全を脅かす動画

YouTube(ユーチューブ)は「未成年者の心と体を守ることを最優先事項にしている」と述べています。例えば子供を性的に描写した動画などはNGです。

*1:コミュニティガイドライン(YouTube)
https://www.youtube.com/intl/ja/yt/about/policies/#community-guidelines

ポリシーとセキュリティ

*2:プライバシーガイドライン(YouTube)

YouTubeプライバシーガイドライン

2.YouTube(ユーチューブ)のサイトには「違法な動画は削除する」と説明されている

YouTube(ユーチューブ)はユーザーに対して、不適切なコンテンツ(動画)をYouTube(ユーチューブ)に報告してほしいと呼びかけています(*3)。報告をした人の情報は、違法動画をアップした者を含めすべてのユーザーに開示されません。
ユーザーがYouTube(ユーチューブ)に不適切動画を報告すると、YouTube(ユーチューブ)のスタッフは対象の動画を確認し、削除すべきかどうか審査します。 ただYouTube(ユーチューブ)の基準に違反しなかった場合、どれだけ多くの不適切報告が寄せられても削除されないことが考えられます。

*3:不適切なコンテンツの報告(YouTube)

不適切なコンテンツの報告

3.YouTube(ユーチューブ)側に削除を依頼する

YouTube(ユーチューブ)側に削除を依頼する

YouTube(ユーチューブ)側に削除依頼する方法を紹介します。 削除してほしい動画を開き、動画画面の下に以下の画像のような箇所があります。

動画画面

この「・・・」をクリックすると、「報告、翻訳を追加」と書かれたポップアップが表示されます。

「報告、翻訳を追加」と書かれたポップアップが表示

この「報告」をクリックすると、「動画を報告」という大きなウィンドウが現れます。 この中に、不適切な内容の種類が出てくるので、該当するものを選択し、「次へ」をクリックします。

「動画を報告」という大きなウィンドウが現れます。

例えばここでは「権利侵害」にチェックをつけ、権利侵害の内容として「著作権の侵害」を選んだとします。

「権利侵害」にチェック

ここから「次へ」をクリックすると、「YouTubeヘルプ」のページが開き、「著作権を侵害したコンテンツに対する削除通知の送信」の解説文が表示されます。

「著作権を侵害したコンテンツに対する削除通知の送信」の解説文

https://support.google.com/youtube/answer/2807622

著作権侵害に関する申立てを送信ボタン

このページの青いボタン「著作権侵害に関する申立てを送信」をクリックします。 次に「著作権侵害に関する通知」のページが表示されます。

著作権侵害に関する通知」のページ

https://www.youtube.com/copyright_complaint_form

このページで、「著作権侵害(他人が私の作品をコピーした)」にチェックすると、「著作権侵害・影響を受けた当事者」というポップアップが表示されるので、例えば「自分」にチェックします。

「著作権侵害・影響を受けた当事者」というポップアップが表示

この後は、「削除する動画」「連絡先」「虚偽がないことの表明」の各項目に入力していきます。

「削除する動画」の画面

「削除する動画」の画面

「連絡先」の画面

「連絡先」の画面

「虚偽がないことの表明」の画面

「虚偽がないことの表明」の画面

全て入力したら、青ボタン「申し立てを送信」をクリックして終了となります。

申し立てを送信ボタン

これで削除依頼がYouTube(ユーチューブ)側に届きます。

4.動画を投稿した者に直接、削除を依頼する

YouTube(ユーチューブ)に削除を依頼しても、YouTube(ユーチューブ)側が削除をしない決定をする可能性も充分にあります。 そういった場合には、動画をアップした者に直接削除を依頼する方法も考えられます。

削除したい動画のページを開くと、動画画面の少し下に、投稿者の名前が書かれています。その名前をクリックすると、その名前のユーザーの専用のページが開きます。そこには、そのユーザーがこれまで投稿した動画が掲載されています。 画面上部に、以下のような「帯」がありますので「フリートーク」をクリックします。※表示されない場合もあります。

概要

ここで動画をアップした人にメッセージを送ることができます。例えば「この動画は私の著作権を侵害しているので削除してください」といった内容の削除要請文を送付する事ができます。 ただし、フリートークにメッセージを送ると、送信者(削除依頼者)のアカウントが先方(動画をアップした者)に知られます。したがって攻撃的な文面にしてしまうと、先方と言い争いになる危険性もあります。 また実際に削除されるかどうかは先方の考え次第であり、削除しない可能性も充分に考えれます。

以前は、上記の「帯」の「概要」のページに「メッセージを送信」という機能が存在し、メール感覚で動画をアップした人とやりとりができたのですが、YouTube(ユーチューブ)は2018年7月にその機能を廃止してしまいました(*4)。

*4:メールの送受信(YouTube)

メールの送受信

5.まとめ~より着実に削除する方法とは

まとめ~より着実に削除する方法とは

以上で紹介したとおり、一度YouTube(ユーチューブ)にアップされた動画を削除するには、かなりの手間がかかります。しかも確実に削除されるわけではありません。YouTube(ユーチューブ)に削除依頼しても審査を通過できなければ削除されません。また、動画をアップした者に削除依頼のメッセージを送っても無視されてしまう恐れがあります。 より着実に削除したいと考える場合は、ネット問題を得意とする弁護士に相談することをおすすめします。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。