犯罪歴・逮捕歴

ネット記事を削除するなら!個人情報や誹謗中傷、犯罪歴が公開されたときの対処法

2025.10.24
ネット記事を削除するなら!個人情報や誹謗中傷、犯罪歴が公開されたときの対処法

インターネットが生活の一部となった今、誰もが気軽に情報を発信できるようになりました。とても便利ですし、たくさんの人がコミュニケーションツールや情報発信ができるという良い面もあります。

その一方で、誹謗中傷や公開を望まない個人情報が晒されるリスクも増大しています。SNSや掲示板などでは、匿名性を盾にした無責任な投稿や記事がときに見られます。それは、人や企業などの信用を大きく傷つけ、将来にわたって深刻な影響を及ぼすこともある重大なものでもあります。

本記事では、ネット上に掲載された個人情報や誹謗中傷記事、さらには過去の逮捕歴・犯罪歴などが公開された場合に、どのように削除を求めるべきか、専門家の視点から解説します。

ネット記事が原因で引き起こされる被害の一例

ネット記事は一度公開されると不特定多数の人の目に触れるため、様々な被害を招きかねません。被害は精神的な苦痛にとどまらず、社会的信用や経済的損失、そしてストーカーなどの被害が出るケースもあり得ます。

実際に、注文した覚えのないデリバリーが届いたり、自宅に嫌がらせをされるという事例もあります。ネット記事やSNSが原因で様々な被害が出るケースがあるのです。

個人情報の暴露

著名人ではなく一般人であっても、ネット上で住所・氏名・勤務先といった情報が晒されると深刻なリスクを負うことになります。

例えば、故意に住所を晒されるケースもありますし、友人や知人がうっかり投稿した画像から自宅を特定されて嫌がらせを受ける可能性もあります。こうした個人情報の暴露や流出がなされるとプライバシー権が侵害されることは元より、犯罪被害を受ける恐れもあり、迅速な削除対応が必要なこともあります。

プライバシー権の侵害

ネット上にプライバシーに関わる情報が公開されることで、被害を受けるというケースもあります。
例えば、自宅の住所や携帯電話番号が投稿されたり、過去の交際歴等が投稿されると、インターネットは、全世界中に公開され、際限なく拡散されていく性質を有することから、甚大な被害を被ることがあります。

誹謗中傷

ネットでよく見られるのが、誹謗中傷です。例えば、無実であるにも関わらず、犯罪行為を行ったという投稿や容姿・能力を侮辱するといった投稿が、掲示板サイトやSNSには無数に書き込まれています。

こうした情報や投稿が一度ネット上に投稿されると、たった一つの投稿が火種となり、拡散され、誹謗中傷が拡大するケースもあります。

逮捕歴や犯罪歴の公開

過去の逮捕歴や前科が公開された場合も、実生活に悪影響を及ぼす可能性があります。

逮捕歴があることが公になると、就職や婚姻、人間関係などあらゆる場面で影響を受けることとなり、日常生活の妨げになることもあるでしょう。逮捕歴の実名報道は成人であれば、通常は逮捕されて間もない場合等であれば、違法ではないといえますが、逮捕から一定の期間を経過しても残っている報道等については、違法性が認められ、削除が認められることもあります。

ネット記事で公開された情報は削除できることもある

インターネット上で公開された情報は、名誉やプライバシーを侵害する内容であれば、削除が認められることがあります。たとえ投稿者が「正当なものを書いただけ」と主張しても、名誉やプライバシー等の権利を侵害している場合には、削除が認められることがあります。

特に、ネット記事は半永久的に残りやすく、検索結果に表示されることで、対象者の人生に長期的な影響を与えるものです。公開直後は小さな問題に見えても、放置することで想像以上の不利益を被るケースは珍しくありません。そのため「削除できる可能性がある」という認識を持ち、できる限り早めに行動することが重要です。

しかし、サイト運営者は、違法であることが明らかな投稿でなければ個別の削除依頼には対応しないこともあります。

ネット記事を早めに削除すべき理由

ネット記事は一度拡散すると取り返しがつきません。容易に保存することが可能であり、新たな記事を作られ、多数の同種の投稿が拡散されていく性質を有します。そのため、被害を抑えるためには、スピード対応が必要になることがあります。

特に、本人の同意なく公開された交際歴や病歴といったプライベートな情報は、真実か否かに関わらず第三者の興味を引きやすく、面白半分で共有されやすい傾向があります。さらに、匿名掲示板などでは、火に油を注ぐように新たな誹謗中傷が追加される危険もあります。

そのため、長期間放置すると、書き込みが保存されてしまう確率が上がるといえます。ネットの書き込みによる被害を最小限にしたいのであれば、早めに投稿を削除した方がいいこともあります。

情報が瞬時に拡散されてしまう恐れがある

ネットに公開された情報は、瞬時に不特定多数に拡散されてしまう恐れがあります。

現代のインターネット環境では、情報は一瞬で拡散します。SNSや掲示板などに転載されると、元記事を削除しても“二次拡散”を止めることは非常に困難です。

仮に、アクセスの少ない個人ブログや掲示板、フォロワーが少ないアカウントであっても、閲覧制限がない限りは不特定多数の人の目に触れるため、常に炎上するリスクがあります。

特に誹謗中傷やスキャンダル要素を含む情報は拡散スピードが速いため、被害を受けていると感じた時点で直ちに対応に動くことが必要な場合もあるでしょう。

情報が認知されると取り返しがつかない

ネット記事の問題点は、一度認知されると消えないことにあります。人間の記憶や個人の端末に残されている保存データは削除できないため、記事や投稿が削除されても、過去にこんな噂があったという形で残り続けてしまうのです。
被害を最小限に抑えるには、初動での素早い削除対応が必要ともいえるでしょう。

ネットに書かれた情報を削除するためには

ネット記事を削除するには大きく分けて、①サイト管理者との交渉による削除②裁判所の命令の2種類です。それぞれの特徴と注意点を理解しておくことが大切です。

サイトの問い合わせフォームから削除依頼できる

多くのサイトや掲示板には、問い合わせフォームや削除依頼フォームが設置されています。ここから、記事のURL・問題箇所・権利侵害の内容といった削除の理由を明記して依頼を行います。

ただし、サイト運営者は膨大な数の削除依頼を受けており、すべてにひとつひとつ完璧な対応ができるわけではありません。また、軽微な理由や法的根拠が乏しい依頼は却下されることも多く、申請内容をできるだけ具体的に分かりやすく記載することが重要です。

本人が対応する場合

被害者自身が運営会社に対して削除依頼を行うことができます。この場合は、まず、冷静に事情を説明することがポイントです。焦りや不安から、感情的な表現や脅迫的な文面になりやすいのですが、これは逆効果です。

とはいえ、本人対応ではやはり冷静ではいられないケースもありますし、法的に説明できずに削除依頼を却下されてしまうこともあります。

弁護士が対応する場合

弁護士に依頼すると、弁護士は法的根拠を示しながら冷静に削除要求の根拠について主張するため、サイト運営者が適切な対応をしてくれる可能性が高まるといえます。

また、削除依頼が拒否された場合でも、弁護士を通してすぐに裁判所への申立てに移行することができることがあります。特に被害が深刻な場合は、最初から弁護士に相談するほうがいいでしょう。

弁護士に依頼した場合、以下のような法的な措置を行うことが考えられます。

① 削除交渉
弁護士からサイト管理者、サーバー会社等に権利侵害を説明し、削除交渉をしていきます。
ただし、この方法では、あくまでサイト管理者等の任意による削除を求めるものであり、必ずしも削除が認められるとは限りません。

② 裁判所への申立て
投稿削除を求める裁判所への申立てには、仮処分命令申立て、または訴訟提起を行うことが多いです。
仮処分命令申立ては訴訟提起するよりも手続きが通常は早く進み、暫定的に投稿削除を命ずるものではありますが、多くのサイト管理者は、裁判所の命令に従い削除し、その後、投稿を復活させることはないため、通常は投稿削除を求めるには、仮処分命令申立てを行うことが有効です。

しかし、仮処分命令申立てでは、数十万円の担保金を供託する必要があり、保全の必要性という要件や担保金を取り戻す際に申立てを取り下げると、投稿を復活させるサイトもあります。そこで、訴訟提起を行った方が良い場合もあります。

裁判所の申立てには、法律上の要件である権利侵害を主張立証する必要があること、どのような申立てが最適かの判断が必要であることなどから専門家である弁護士に依頼する方が良いと考えられます。

ネット記事の削除依頼は弁護士に依頼するメリットが大きい

ネット記事を削除する際には、自分で削除依頼を試みることも可能ですが、弁護士に依頼することで得られるメリットもあります。専門的な知識と法的な強制力を背景に、解決までのスピードと確実性を高められるため、深刻な被害に悩む人にとっては最も安心できる選択肢といえます。

法的根拠を示して削除依頼ができる

まず第一に、弁護士が法的根拠を明示して削除を求めることにより、サイト管理者等が投稿削除に応じやすくなるといえます。
サイト運営者等は日常的に数多くの削除依頼を受けているでしょうから、感情的な訴えや法律上の根拠に乏しい内容であれば、門前払いするかもしれません。

最適な方法の選択

次に、弁護士に依頼すれば、該当の投稿について、最適な方法を選択し、削除を進めることが可能といえます。
任意での削除には、ほとんど応じないサイトや一見、連絡手段の分からないサイト等もあります。
弁護士であれば、最適な方法を選択し、進めることが可能といえます。

精神的なメリット

弁護士に依頼することで精神的な負担の軽減にもつながるかもしれません。ネットトラブルは被害者にとって大きなストレスとなり、日常生活や仕事に支障を及ぼすことも少なくないでしょう。
弁護士に任せれば、専門家が冷静かつ最適な対応を進めてくれるため、被害者は心理的に安心感を得ながら解決を待つことができるでしょう。

ネット記事を削除する際は専門家に相談を

ネット上に公開されてしまった不都合な情報や悪意のある記事の削除依頼は、自分でも対応は可能ではあります。しかし、サイト運営者は削除依頼がきたら必ず応じるというわけではなく、個人ではどうしたらいいか分からないこともあるでしょう。

ネット記事の削除は時間との勝負ともいえますので、できるだけ早く対応したいのであれば、インターネットトラブルに強い弁護士に相談するのがおすすめです。

アークレスト法律事務所では、掲示板の書き込みや各種サイト・SNSの削除についても実績があります。
状況を見極めて最適な対策を講じますので、お困りの方はご相談ください。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。