悪徳業者から被害に遭ったら?具体的な対処法や相談窓口を解説
ネット上で肖像権侵害となる条件とは
2018.08.26ネット上では、さまざまな権利侵害が行われる可能性がありますが、中でも「肖像権」が問題になることが多いです。
肖像権というと、漠然としたイメージは持っていても、具体的にどのようなものかわからない、という方が多いのではないでしょうか?
今回は、ネット上の投稿が肖像権侵害となる条件について、解説します。
1.肖像権とは
肖像権とは「みだりに自己の容ぼう等を撮影され,これを公表されない権利」です。
容ぼうというのは、姿形のことです。誰も、自分の姿を勝手に撮影されたり、無断で公表されたりしない権利を持っているということです。
肖像権は、著作権などのように、明文化されていないので、どこの法律を見ても「肖像権」について定めたものはありません。
肖像権は「判例」によって認められる権利です。昭和44年12月24日の最高裁の判決内容によって、個人には肖像権が保障されると理解されています。
そして、その根拠は、憲法上の「幸福追求権(憲法13条)」にあると考えられています。
2.肖像権侵害となるケース
では、具体的にはどのようなケースで肖像権侵害となるのでしょうか?
2-1.許可無く他人の写真や動画を投稿するケース
ネット上では、写真や動画が投稿されることが多いのですが、このとき肖像権侵害が起こりやすいです。
よくあるのは、対象者の了承を取らずに勝手に写真や動画を投稿しているケースです。特に意識せずに他人の写真を投稿して肖像権を侵害してしまうケースもありますし、嫌がらせで投稿をして肖像権侵害となるケースもあります。
撮影については許可を得ていても、投稿(公表)についてあらためて許可を得ていなければ、やはり肖像権侵害となるので、注意が必要です。
2-2.写り込みのケース
また、対象者を狙った投稿ではなく「写り込み」のケースもありますし、対象者がはっきり写っていないケースもあります。このような場合には、以下のような基準で、肖像権侵害を判断します。
- 対象人物がはっきり写っているかどうか(写り具合)
- 被写体がメインの画像か
- 拡散可能性が高い方法か(公表方法)
- 対象人物が誰であるか、特定できるか
対象人物がはっきり写っている場合、対象者がメインとなっている場合、拡散可能性の高いネット上の投稿の場合、人物の特定が容易な場合などには、肖像権侵害になりやすいです。
3.肖像権侵害をされたときの対処方法
ネット上では、さまざまな形で肖像権侵害が行われます。
たとえば、リベンジポルノの被害を受けることもありますし、ナイトワークの方が掲示板に勝手に画像をアップされることもあるでしょう。「晒し行為」によって、明らかに悪質な肖像権侵害を受けるケースことも多いです。
これらのケースでは、権利侵害を理由として、対象の記事や画像を削除させることができますし、投稿者を特定して損害賠償請求することも可能です。リベンジポルノなどの悪質なケースでは、刑事告訴をすることで、相手を処罰してもらえる可能性もあります。
ただ、そのためには仮処分などの法的な手続が必要になるので、法律の専門家によるサポートが必須です。
当事務所では、ネット誹謗中傷問題を得意としております。ネット上に自分の画像が投稿されてお困りの場合、お早めにご相談ください。
監修者
野口 明男(代表弁護士)
開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。
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