名誉毀損

名誉毀損における和解交渉の流れや和解金の相場を詳しく紹介

2021.04.03
名誉毀損における和解交渉の流れや和解金の相場を詳しく紹介

ホスラブや爆サイなど、インターネット上の誹謗中傷で告訴された場合、3年以下の懲役禁錮、あるいは50万円以下の罰金が科せられます。有罪判決を受ければ前科がつき、就職するときなど生活に影響が出るでしょう。

しかし、被害者と和解交渉をして告訴を取り下げてもらえれば、前科がつくことを防げるかもしれません。

ここでは、名誉毀損で訴えられたときの和解交渉について、流れと和解金の相場を解説します。

1.名誉毀損の和解条項

名誉毀損の和解条項

そもそも和解とは、裁判上で和解契約を結ぶことです。名誉毀損で民事裁判を起こしたときに、当事者がお互いに譲歩して、和解案に合意することをいいます。

裁判上で和解をおこなうと、裁判所によって和解調書が作成されます。和解調書は、当事者同士が裁判所で了承した和解案のため、法的強制力がある書類です。和解調書にある和解条項には、和解金の期日や金額、支払先などが記載されています。

和解と似た言葉に、「示談」があります。示談とは、民事・刑事事件を問わず、裁判が起こる前に、当事者間で話し合って和解することです。示談で和解が成立した場合は、示談書と呼ばれる和解契約書を作成して、合意したことを示します。

示談による和解契約書に書かれた内容が守られなかった場合は、法的根拠として訴えを起こすことも可能です。裁判所を介していなくても、和解契約書は一旦は合意したことを証明できるため、示談でも必ず作成しておく必要があります。

刑事事件として名誉毀損で訴えられた場合は、裁判が始まる前に被害者と和解し告訴を取り下げてもらって、示談で解決するほうがよいでしょう。

2.名誉毀損の当事者間での和解の流れ

名誉毀損の当事者間での和解の流れ

ホスラブや爆サイなどの掲示板に誹謗中傷を書き込み、名誉毀損で訴えられた場合、なるべく和解で済ませたいと考える方が多いでしょう。

ここでは、和解示談、それぞれがどのような流れで進むのかを説明します。

2-1.和解の流れ

民事事件として名誉毀損で訴えられた場合は、裁判前だけでなく、裁判中も和解交渉が可能です。裁判所から和解案の提案があり、当事者同士が合意すれば、和解が成立します。

和解せずに、判決まで至った場合に予想される結論よりも、お互いによい条件が提示されるなど、加害者にとっても被害者にとってもメリットがある方法です。

訴え提起前に和解するときは、当事者間で話し合って和解条項を作成し、裁判所に和解の申立てをします。申立書が審査され、和解条項に修正がなければ、審査は完了し、無事に和解が成立します。[注1]

[注1]裁判所:訴え提起前の和解手続の流れ

2-2.示談の流れ

示談の場合は、裁判所をとおさずに、当事者間あるいは弁護士を代理に立てて、話し合いをして和解します。ただし、さらにトラブルが発生する可能性もあるため、できるだけ当事者だけでの話し合いは避けましょう。

示談は、お互いの弁護士をとおして示談交渉をし、当事者同士が合意する内容で示談書を作成します。弁護士に示談を依頼していれば、示談書の作成までをすべておこなってくれます。

3.名誉毀損の和解金の相場は?

名誉毀損の和解金の相場は?

和解金とは、裁判をおこなったときに、請求される慰謝料を含んだ賠償金です。示談金とも呼び、それぞれに明確な区別はありません。

名誉毀損の和解金の相場は、裁判をしたときに請求される慰謝料と、同程度が相場です。名誉毀損では、慰謝料の相場が50~100万円程度のため、和解金も100万円以下になる可能性が高いでしょう。

ただし、名誉毀損の程度がひどいケースなど、裁判で認められる慰謝料が高いと考えられる場合には、和解金も高くなります。

また、被害者が怒って、異常に高い和解金を提示してくることもあります。名誉毀損の和解金の相場がわからないときも、弁護士に依頼しておくと安心です。

4.名誉毀損で和解したいときは弁護士に依頼してスムーズに進めよう

ホスラブや、爆サイなどの匿名掲示板でのトラブルで、名誉毀損で訴えられてしまった場合は、裁判前の和解示談で解決することが大切です。

とくに刑事事件の場合は、有罪判決を受けると前科がついてしまいます。刑事事件で名誉毀損罪を問われたら、早めに示談に持ち込み、被害者に告訴を取り下げてもらうほうがよいでしょう。

和解交渉は、弁護士をとおさずに自分でもおこなえますが、示談書なども自分で作成する必要があります。また、当事者同士の和解交渉でトラブルになることもあるため、弁護士に依頼するとスムーズに進み、示談書の作成までしてもらえます。

野口 明男 弁護士

監修者

野口 明男(代表弁護士)

開成高等学校卒、京都大学工学部卒。
旧司法試験に合格し、平成17年に弁護士登録後、日本最大規模の法律事務所において企業が抱える法律問題全般について総合的な法的アドバイスに携わる。平成25年に独立し法律事務所を設立、平成28年12月にアークレスト法律事務所に名称を変更し、誹謗中傷対策を中心にネットトラブル全般に幅広く関わる。
弁護士と企業とのコミュニケーションに最も重点を置き、中小企業の経営者のニーズ・要望に沿った法的アドバイス及び解決手段の提供を妥協することなく追求することにより、高い評価を得ている。
単に法務的観点だけからではなく、税務的観点、財務的観点も含めた多角的なアドバイスにより、事案に応じた柔軟で実務的な解決方法を提供する。