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著作権侵害の削除請求方法を解説!企業がとれる3つの対応策

動画や画像、文章は誰にでも簡単にダウンロード・アップロードができるため、ネット上にはさまざまなコンテンツが溢れています。「著作権侵害」も発生しやすい状況にあるといえるでしょう。企業・個人を問わず、第三者から著作権を侵害されるおそれは十分あるので、被害に遭ってしまった場合にどうすれば良いのか知っておくことが大切です。事例をまじえながら、著作権侵害に遭った場合の対処法を解説します。

インターネット上の著作権侵害:侵害されている主な権利

ネット上での無断利用は、主に以下の2つの法的権利を侵害しています。

  • 複製権(著作権法第21条) 著作物を印刷、写真、複写、録音、録画などの方法で物理的に「コピー」する権利です。サーバーへの保存行為もこれに含まれます。
  • 公衆送信権(著作権法第23条1項) 著作物をインターネットなどを通じて公衆(不特定多数)に送信する権利です。SNSへの投稿やアップロード行為が該当します。

参考:著作権法
https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048

著作権侵害に遭ったら著作者は削除依頼が可能

著作権を侵害された場合は、該当のコンテンツを削除するように要請できます。自分が著作権を持つコンテンツが違法アップロードされているのに気づいたら、まずはコンテンツの削除を目指しましょう。

なお、「著作権の侵害」は、企業が有するコンテンツ等に限らず、幅広く適応されます。小説やイラスト、漫画、音源、動画などは、作者がプロかアマチュアかに関係なく、著作権法が保護する「著作物」に当たります。

具体的な削除方法については後述しますが、著作権が侵害されているときは、無断で著作物を掲載しているプラットフォームに通報して削除を依頼するか、投稿者に連絡をするのが一般的です。

著作権侵害の代表例と侵害される権利の法的解釈

ネット上での著作権侵害は、単なる「無断使用」ではなく、法律で定められた複数の権利侵害が重なることで発生します。以下に、主要な侵害ケースと該当する法的権利を整理しました。

侵害のケース該当する主な法的権利侵害の態様(法的解釈)
テキストの無断転載複製権・公衆送信権他者のコラム・ブログをコピー(複製)し、自サイトやSNSにアップ(公衆送信)する行為。
SNSへの画像・動画アップ公衆送信権(送信可能化権)他人が権利を持つ画像や動画を、無断でSNS等のサーバーにアップロードし閲覧可能にする行為。
音楽の無断利用演奏権・公衆送信権許可なく動画のBGMとして使用したり、インターネット上でライブ配信等に利用する行為。
ファイル共有・海賊版配布複製権・譲渡権・公衆送信権著作物を無断でデジタル化(複製)し、不特定多数に提供・配布する多重的な権利侵害。

【弁護士からの重要アドバイス】 映像や漫画などのコンテンツの閲覧自体は、原則として著作権侵害には該当しません。しかし、閲覧時にキャッシュとしてデータが自動保存(ダウンロード)される仕組みのサイトや、閲覧と同時にアップロードが行われる「P2P型」のサイトでは、知らないうちに著作権法違反(複製権・公衆送信権侵害)に加担してしまうリスクがあります。

著作権侵害か、適法な「引用」かの境界線

「無断で掲載された=すべて違法」とは限りません。著作権法第32条では、以下の要件をすべて満たす場合のみ、無断利用が「適法な引用」として認められます。

要件項目内容と判断基準
1. 公表済みの著作物すでに世の中に公開されている作品であること。
2. 引用の必用性その著作物を利用しなければ、説明が成り立たない正当な理由があること。
3. 主従関係の明確性自分の文章が「主」、引用部分が「従」であり、量的にも質的にも主従関係があると認められること。
4. 明瞭区分性カギ括弧(「」)や引用ブロックを用い、どこが引用か一目でわかること。
5. 出典の明記(第48条)著者名、作品名、URLなどの出所が正確に記載されていること。

著作権侵害に当たらないケース(例外規定)

  • 私的使用のための複製(第30条): 自分や家族の間で楽しむためにコピーする行為(※ネットへのアップロードはNG)。
  • 時事の事件報道(第41条): 報道の目的上、正当な範囲内で著作物を利用する場合。
  • 非営利かつ無料の演奏・上映(第38条): 入場料を取らず、出演者にも報酬を支払わない場合(※ネット配信は公衆送信権が絡むため原則NG)。

著作権侵害に遭った場合の3つの削除申請方法

著作権侵害に遭ってしまった場合は、3つの方法で削除申請をすることができます。どのような方法がとれるのかを知り、状況に応じて適切な方法を選択しましょう。

1.媒体別:著作権侵害コンテンツの削除申請ルート一覧

各プラットフォームには、著作権侵害専用の通報フォームが用意されています。しかし、「単なる通報」と「法的根拠に基づく削除要請」では、運営側の対応速度が大きく異なります。

媒体申請ルート・特徴弁護士が必要なケース
YouTube「著作権侵害による削除通知」フォームを使用。相手が異議申立てを行い、動画が復活してしまった場合。
X (旧Twitter)ヘルプセンター内の「著作権侵害の報告」から申請。複数アカウントで拡散されており、一斉削除と特定が必要な場合。
Instagram「知的財産権の侵害報告」フォームより申請。偽アカウントによるなりすましや、DMでの侵害が続く場合。
掲示板 (5ちゃんねる等)削除ガイドラインに基づき、削除専用メールやフォームで依頼。規約違反ではないと判断され、裁判所を通じた仮処分が必要な場合。

2.海外サイト・SNSへの強力な対抗手段「DMCA」とは?

GoogleやYouTube、X(旧Twitter)、Instagramなどの米国サービスにおいて、著作権侵害を迅速に解決するための世界標準がDMCA(デジタルミレニアム著作権法)です。

DMCAを利用するメリット

  • 削除までのスピード: 日本の法律に基づく照会よりも、プラットフォーム側の対応が非常に早い傾向にあります。
  • Google検索結果からの除外: 侵害サイト自体の削除が難しくても、Googleの検索結果からインデックスを削除(非表示化)させることが可能です。
  • グローバル基準の保護: 相手がどこの国の人間であっても、米国プラットフォーム上のコンテンツであれば強制力を行使できます。

3.勝訴率を高める「証拠保全」:画像・動画特有の重要データ

削除請求や損害賠償を有利に進めるためには、単なるスクリーンショット以上の「技術的証拠」が求められるケースがあります。

1. 撮影・作成日時を証明する「EXIF情報」と「原版データ」

デジタル画像には、目に見えないメタデータ(EXIF情報)が含まれています。

  • EXIF情報の重要性: 撮影日時、カメラ機種、GPS情報などが記録されており、どちらが「先に作成されたオリジナルか」を判別する強力な証拠になります。
  • 原版データ(RAWデータ)の保持: 編集前の元データや、高解像度のRAWデータは、著作者本人しか持ち得ないため、同一性を証明する決定打となります。
保存すべき証拠詳細・保存のポイント役割
URL・タイムスタンプ侵害ページのURLと、保存した日時を明確にする。侵害の「時効」や「継続性」の証明
高精細スクショ投稿者ID、投稿内容、再生数、コメント欄を全て含める。侵害規模と加害者の特定
EXIF情報付き元データ編集・圧縮前のオリジナルファイルをクラウドやHDDに隔離。自分が「真の著作者」であることの証明
WHOIS情報独自ドメインサイトの場合、サーバー管理者の情報を取得。加害者特定の第一歩

4.弁護士に削除申請を行ってもらう

プラットフォームに対する削除依頼や投稿者の特定、その後の差止請求や損害賠償請求といった訴訟は、弁護士に依頼してすべて任せることも可能です。
個人で投稿者の特定をするためには、多くのハードルがあり、時間も手間もかかります。弁護士に依頼することで、早期解決を目指せるでしょう。また、プラットフォームへの削除依頼は個人で行うこともできますが、事例に精通した弁護士を通すことが強い意思表示になります。

5.【トータルサポート】著作権侵害の削除から損害賠償までの全プロセス

著作権を侵害された場合、単にコンテンツを消すだけでは根本的な解決になりません。アークレスト法律事務所では、再発防止と実質的な被害回復のため、以下のフローで加害者を徹底的に追求します。

1. 迅速な削除請求(コンテンツの消失)

まず、被害の拡大を防ぐために、各プラットフォームやサーバー管理者へ削除(送信防止措置)を求めます。

2. 発信者情報開示請求(加害者の特定)

削除と並行、あるいは削除後に「誰が投稿したか」を特定します。改正法により、「ログイン時情報」の開示や、裁判所を通じたスピーディーな「非訟手続」が可能となり、以前よりも短期間での特定が期待できるようになりました。

3. 損害賠償請求・刑事告訴(責任の追及)

加害者の氏名・住所が判明次第、弁護士が直接交渉、または民事訴訟を提起します。

  • 慰謝料・損害賠償: 著作物の使用料相当額や、調査に要した弁護士費用の一部を請求します。
  • 示談交渉: 加害者に反省を促し、二度と侵害を行わない旨の合意書を作成します。
  • 刑事告訴: 悪質なケースでは、警察への告訴状提出もサポートします。

6.【判別リスト】著作権侵害の削除請求が認められるケース・認められないケース

「無断転載されたからといって、必ず削除が認められるわけではありません。」弁護士が実務で判断する、削除可否の境界線を整理しました。

1. 削除が認められる可能性が高いケース(権利侵害が明白)

  • デッドコピー: 文章、画像、動画をそのまま、あるいは一部改変して掲載している。
  • 引用の要件を欠いている: 出典の記載がない、または引用部分が主役になっている。
  • 公衆送信権の侵害: 権利者に無断で、不特定多数が閲覧できる状態にしている。
  • アイディアではなく「表現」の盗用: 構成や表現の細部まで酷似している。

2. 削除請求が困難なケース(侵害と認められない可能性)

  • アイディアの類似: 設定やコンセプトが似ているだけで、具体的な文章や造形が異なる。
  • 正当な範囲内の引用: 報道・批評・研究などの目的で、正当な範囲(主従関係が明確など)で利用されている。
  • 著作物性の欠如: 単なる事実の羅列(時刻表や名簿など)や、誰が書いても同じになる短文。
  • 私的使用のための複製: 個人の端末に保存しているだけで、ネット上に公開されていない。
判断基準削除が認められやすい(侵害)削除が難しい(適法・非侵害)
利用形態無断での「公開(アップロード)」個人的な「保存」や「限定的な共有」
引用の形式出典なし、境界が不明瞭出典明記、自分の文章がメイン
表現の類似性創作的な表現が一致しているアイディアや事実関係のみが一致
目的営利目的や著作者の利益を損なう報道・批評・教育などの正当な目的

7.【ケース別】企業・個人で異なる著作権侵害の影響と対応戦略

著作権侵害への対応は、権利者が「法人」か「個人」かによって、法的な力点や損害の範囲が変わります。

比較項目企業(法人)のケース個人(クリエイター)のケース
主な侵害対象商品画像、広告文、独自ノウハウ、ロゴイラスト、小説、写真、SNS投稿
損害の範囲ブランド価値の毀損、営業利益の損失精神的苦痛、潜在的収益の喪失
削除の優先度極めて高い(模倣品対策・SEO低下防止)高い(無断転載・なりすまし防止)
損害賠償の焦点逸失利益、調査費用、信用回復措置慰謝料、ライセンス料相当額

【総括】著作権侵害を確実に解決するために

本記事で解説した著作権侵害対策の重要ポイントをまとめます。

記事の要点3ライン

  1. 法的根拠の明確化: ネット上の無断転載は「複製権」や「公衆送信権」を侵害する明確な違法行為である。
  2. 多角的な削除ルート: 日本の法律(プロバイダ責任制限法)と米国法(DMCA)を使い分けることで、海外SNSでも迅速な削除が可能。
  3. 特定と賠償のセット: 改正法による「非訟手続」を活用し、加害者の特定から損害賠償請求までを一貫して行うのが現代の標準。

今すぐ取るべき「解決への3ステップ」

  1. 【証拠保全】 URL、投稿者情報、EXIF情報を含む原版データを即座に保存する。
  2. 【可否判断】 引用の要件(主従関係等)を満たしているか、弁護士のリーガルチェックを受ける。
  3. 【法的着手】 被害が拡大する前に、プラットフォームへの削除要請と発信者情報開示を弁護士に依頼する。

【弁護士が回答】著作権侵害に関するよくある質問(FAQ)

著作権侵害の解決について、当事務所に寄せられる代表的な質問にお答えします。

質問 (Q)回答 (A)
Q1. 無断転載された画像を消すにはどうすればいい?A1. 各SNSやサイトの「知的財産権報告フォーム」から削除申請が可能です。ただし、確実かつ迅速に消したい場合は、弁護士を通じたリーガル・ノーティス(法的通知)が効果的です。
Q2. URLを貼って引用したのに侵害と言われたのはなぜ?A2. 引用には「主従関係(自分の文章がメインであること)」や「必然性」が必要です。単にURLを貼るだけでは不十分で、著作権法32条の要件を満たさないと侵害となります。
Q3. 相手が海外のSNS(XやInstagram)でも削除できる?A3. はい、可能です。米国法である「DMCA(デジタルミレニアム著作権法)」に基づく申請を行うことで、日本の法律よりスピーディーに削除されるケースも多いです。
Q4. 投稿者を特定して損害賠償を請求することは可能?A4. 可能です。「発信者情報開示請求」を行い、氏名・住所が判明すれば、慰謝料や著作物使用料相当額、調査費用の一部を請求できます。
Q5. スクリーンショット以外にどんな証拠が必要?A5. 侵害箇所のURLと日時は必須です。画像の場合、EXIF情報(メタデータ)を含む原版データがあると、自分が著作者であることの強力な証拠になります。
Q6. 漫画のコマを1コマだけSNSに載せるのは侵害?A6. 原則として、権利者の許可なく掲載すれば複製権・公衆送信権の侵害です。「1コマだけなら大丈夫」という法的根拠はありません。
Q7. 侵害コンテンツの「閲覧」だけで罪に問われる?A7. 閲覧のみで罪に問われることは稀ですが、閲覧と同時にダウンロードや共有が行われるサイト(P2P等)では、意図せず侵害に加担するリスクがあります。
Q8. 削除申請をしてから実際に消えるまでどのくらい?A8. プラットフォームによりますが、DMCA申請なら数日〜2週間程度、日本のプロバイダへの仮処分なら1ヶ月程度が目安です。
Q9. 弁護士に頼むと費用はいくらくらいかかる?A9. 削除件数や特定の手続(裁判の有無)により異なります。当事務所では、状況を伺った上で事前にお見積りを提示しております。
Q10. 昔に投稿された内容でも削除請求はできる?A10. 侵害状態が継続していれば削除は可能です。ただし、損害賠償請求には時効があるため、早めの対処を推奨します。
井尻