動画や画像、文章は誰にでも簡単にダウンロード・アップロードができるため、ネット上にはさまざまなコンテンツが溢れています。「著作権侵害」も発生しやすい状況にあるといえるでしょう。企業・個人を問わず、第三者から著作権を侵害されるおそれは十分あるので、被害に遭ってしまった場合にどうすれば良いのか知っておくことが大切です。事例をまじえながら、著作権侵害に遭った場合の対処法を解説します。
ネット上での無断利用は、主に以下の2つの法的権利を侵害しています。
参考:著作権法
https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048
著作権を侵害された場合は、該当のコンテンツを削除するように要請できます。自分が著作権を持つコンテンツが違法アップロードされているのに気づいたら、まずはコンテンツの削除を目指しましょう。
なお、「著作権の侵害」は、企業が有するコンテンツ等に限らず、幅広く適応されます。小説やイラスト、漫画、音源、動画などは、作者がプロかアマチュアかに関係なく、著作権法が保護する「著作物」に当たります。
具体的な削除方法については後述しますが、著作権が侵害されているときは、無断で著作物を掲載しているプラットフォームに通報して削除を依頼するか、投稿者に連絡をするのが一般的です。
ネット上での著作権侵害は、単なる「無断使用」ではなく、法律で定められた複数の権利侵害が重なることで発生します。以下に、主要な侵害ケースと該当する法的権利を整理しました。
| 侵害のケース | 該当する主な法的権利 | 侵害の態様(法的解釈) |
| テキストの無断転載 | 複製権・公衆送信権 | 他者のコラム・ブログをコピー(複製)し、自サイトやSNSにアップ(公衆送信)する行為。 |
| SNSへの画像・動画アップ | 公衆送信権(送信可能化権) | 他人が権利を持つ画像や動画を、無断でSNS等のサーバーにアップロードし閲覧可能にする行為。 |
| 音楽の無断利用 | 演奏権・公衆送信権 | 許可なく動画のBGMとして使用したり、インターネット上でライブ配信等に利用する行為。 |
| ファイル共有・海賊版配布 | 複製権・譲渡権・公衆送信権 | 著作物を無断でデジタル化(複製)し、不特定多数に提供・配布する多重的な権利侵害。 |
【弁護士からの重要アドバイス】 映像や漫画などのコンテンツの閲覧自体は、原則として著作権侵害には該当しません。しかし、閲覧時にキャッシュとしてデータが自動保存(ダウンロード)される仕組みのサイトや、閲覧と同時にアップロードが行われる「P2P型」のサイトでは、知らないうちに著作権法違反(複製権・公衆送信権侵害)に加担してしまうリスクがあります。
「無断で掲載された=すべて違法」とは限りません。著作権法第32条では、以下の要件をすべて満たす場合のみ、無断利用が「適法な引用」として認められます。
| 要件項目 | 内容と判断基準 |
| 1. 公表済みの著作物 | すでに世の中に公開されている作品であること。 |
| 2. 引用の必用性 | その著作物を利用しなければ、説明が成り立たない正当な理由があること。 |
| 3. 主従関係の明確性 | 自分の文章が「主」、引用部分が「従」であり、量的にも質的にも主従関係があると認められること。 |
| 4. 明瞭区分性 | カギ括弧(「」)や引用ブロックを用い、どこが引用か一目でわかること。 |
| 5. 出典の明記(第48条) | 著者名、作品名、URLなどの出所が正確に記載されていること。 |
著作権侵害に遭ってしまった場合は、3つの方法で削除申請をすることができます。どのような方法がとれるのかを知り、状況に応じて適切な方法を選択しましょう。
各プラットフォームには、著作権侵害専用の通報フォームが用意されています。しかし、「単なる通報」と「法的根拠に基づく削除要請」では、運営側の対応速度が大きく異なります。
| 媒体 | 申請ルート・特徴 | 弁護士が必要なケース |
| YouTube | 「著作権侵害による削除通知」フォームを使用。 | 相手が異議申立てを行い、動画が復活してしまった場合。 |
| X (旧Twitter) | ヘルプセンター内の「著作権侵害の報告」から申請。 | 複数アカウントで拡散されており、一斉削除と特定が必要な場合。 |
| 「知的財産権の侵害報告」フォームより申請。 | 偽アカウントによるなりすましや、DMでの侵害が続く場合。 | |
| 掲示板 (5ちゃんねる等) | 削除ガイドラインに基づき、削除専用メールやフォームで依頼。 | 規約違反ではないと判断され、裁判所を通じた仮処分が必要な場合。 |
GoogleやYouTube、X(旧Twitter)、Instagramなどの米国サービスにおいて、著作権侵害を迅速に解決するための世界標準がDMCA(デジタルミレニアム著作権法)です。
削除請求や損害賠償を有利に進めるためには、単なるスクリーンショット以上の「技術的証拠」が求められるケースがあります。
デジタル画像には、目に見えないメタデータ(EXIF情報)が含まれています。
| 保存すべき証拠 | 詳細・保存のポイント | 役割 |
| URL・タイムスタンプ | 侵害ページのURLと、保存した日時を明確にする。 | 侵害の「時効」や「継続性」の証明 |
| 高精細スクショ | 投稿者ID、投稿内容、再生数、コメント欄を全て含める。 | 侵害規模と加害者の特定 |
| EXIF情報付き元データ | 編集・圧縮前のオリジナルファイルをクラウドやHDDに隔離。 | 自分が「真の著作者」であることの証明 |
| WHOIS情報 | 独自ドメインサイトの場合、サーバー管理者の情報を取得。 | 加害者特定の第一歩 |
プラットフォームに対する削除依頼や投稿者の特定、その後の差止請求や損害賠償請求といった訴訟は、弁護士に依頼してすべて任せることも可能です。
個人で投稿者の特定をするためには、多くのハードルがあり、時間も手間もかかります。弁護士に依頼することで、早期解決を目指せるでしょう。また、プラットフォームへの削除依頼は個人で行うこともできますが、事例に精通した弁護士を通すことが強い意思表示になります。
著作権を侵害された場合、単にコンテンツを消すだけでは根本的な解決になりません。アークレスト法律事務所では、再発防止と実質的な被害回復のため、以下のフローで加害者を徹底的に追求します。
まず、被害の拡大を防ぐために、各プラットフォームやサーバー管理者へ削除(送信防止措置)を求めます。
削除と並行、あるいは削除後に「誰が投稿したか」を特定します。改正法により、「ログイン時情報」の開示や、裁判所を通じたスピーディーな「非訟手続」が可能となり、以前よりも短期間での特定が期待できるようになりました。
加害者の氏名・住所が判明次第、弁護士が直接交渉、または民事訴訟を提起します。
「無断転載されたからといって、必ず削除が認められるわけではありません。」弁護士が実務で判断する、削除可否の境界線を整理しました。
| 判断基準 | 削除が認められやすい(侵害) | 削除が難しい(適法・非侵害) |
| 利用形態 | 無断での「公開(アップロード)」 | 個人的な「保存」や「限定的な共有」 |
| 引用の形式 | 出典なし、境界が不明瞭 | 出典明記、自分の文章がメイン |
| 表現の類似性 | 創作的な表現が一致している | アイディアや事実関係のみが一致 |
| 目的 | 営利目的や著作者の利益を損なう | 報道・批評・教育などの正当な目的 |
著作権侵害への対応は、権利者が「法人」か「個人」かによって、法的な力点や損害の範囲が変わります。
| 比較項目 | 企業(法人)のケース | 個人(クリエイター)のケース |
| 主な侵害対象 | 商品画像、広告文、独自ノウハウ、ロゴ | イラスト、小説、写真、SNS投稿 |
| 損害の範囲 | ブランド価値の毀損、営業利益の損失 | 精神的苦痛、潜在的収益の喪失 |
| 削除の優先度 | 極めて高い(模倣品対策・SEO低下防止) | 高い(無断転載・なりすまし防止) |
| 損害賠償の焦点 | 逸失利益、調査費用、信用回復措置 | 慰謝料、ライセンス料相当額 |
本記事で解説した著作権侵害対策の重要ポイントをまとめます。
著作権侵害の解決について、当事務所に寄せられる代表的な質問にお答えします。
| 質問 (Q) | 回答 (A) |
| Q1. 無断転載された画像を消すにはどうすればいい? | A1. 各SNSやサイトの「知的財産権報告フォーム」から削除申請が可能です。ただし、確実かつ迅速に消したい場合は、弁護士を通じたリーガル・ノーティス(法的通知)が効果的です。 |
| Q2. URLを貼って引用したのに侵害と言われたのはなぜ? | A2. 引用には「主従関係(自分の文章がメインであること)」や「必然性」が必要です。単にURLを貼るだけでは不十分で、著作権法32条の要件を満たさないと侵害となります。 |
| Q3. 相手が海外のSNS(XやInstagram)でも削除できる? | A3. はい、可能です。米国法である「DMCA(デジタルミレニアム著作権法)」に基づく申請を行うことで、日本の法律よりスピーディーに削除されるケースも多いです。 |
| Q4. 投稿者を特定して損害賠償を請求することは可能? | A4. 可能です。「発信者情報開示請求」を行い、氏名・住所が判明すれば、慰謝料や著作物使用料相当額、調査費用の一部を請求できます。 |
| Q5. スクリーンショット以外にどんな証拠が必要? | A5. 侵害箇所のURLと日時は必須です。画像の場合、EXIF情報(メタデータ)を含む原版データがあると、自分が著作者であることの強力な証拠になります。 |
| Q6. 漫画のコマを1コマだけSNSに載せるのは侵害? | A6. 原則として、権利者の許可なく掲載すれば複製権・公衆送信権の侵害です。「1コマだけなら大丈夫」という法的根拠はありません。 |
| Q7. 侵害コンテンツの「閲覧」だけで罪に問われる? | A7. 閲覧のみで罪に問われることは稀ですが、閲覧と同時にダウンロードや共有が行われるサイト(P2P等)では、意図せず侵害に加担するリスクがあります。 |
| Q8. 削除申請をしてから実際に消えるまでどのくらい? | A8. プラットフォームによりますが、DMCA申請なら数日〜2週間程度、日本のプロバイダへの仮処分なら1ヶ月程度が目安です。 |
| Q9. 弁護士に頼むと費用はいくらくらいかかる? | A9. 削除件数や特定の手続(裁判の有無)により異なります。当事務所では、状況を伺った上で事前にお見積りを提示しております。 |
| Q10. 昔に投稿された内容でも削除請求はできる? | A10. 侵害状態が継続していれば削除は可能です。ただし、損害賠償請求には時効があるため、早めの対処を推奨します。 |