転職会議の口コミを見るためには、閲覧サービス料金を支払うか自分で口コミを1件投稿する必要があります。口コミを投稿した場合、30日間すべての口コミを閲覧することができます。そこで気になるのが「投稿した書き込みが勤務先の会社にバレないか」という点です。
本記事では、転職会議に口コミを投稿すると会社にバレるのか、またバレてしまった場合はどのように対処すればよいのかを解説します。(以下、投稿者の勤務先または元勤務先の会社を「企業」とします。)
目次
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通常、投稿者がガイドラインと節度を守って投稿すれば、だれが投稿したかバレることは考えにくいです。しかし、書き込み内容によっては特定されてしまうこともありえます。それがどのようなケースなのかを解説します。
まず投稿内容から投稿者が推定できるケースです。投稿者が企業を退職した後に同社のネガティブな口コミを投稿した場合、退職時期や退職事由と投稿内容との関連で企業側に察知される可能性があります。たとえば退職勧奨によって退職した従業員が、企業から告げられた退職勧奨の理由を書き込んだ場合などです。
また、その企業のイメージを著しく傷つける投稿や、企業機密を漏洩したと受け取られるような書き込みを認知すれば、企業側は法的な手続きを経て投稿者を特定しようとする可能性があります。
たとえば、従業員に対する各種の研修の内容や企業の技術的ノウハウについては企業が情報漏洩に対して特に目を光らせているので注意が必要です。さらに、企業が保有する個人情報を漏洩する書き込みをすると訴訟提起等の法的措置を取られる危険もあります。
もっとも、このような書き込みはガイドライン違反として、転職会議側が公開を控える可能性も高くなります。
それでは、投稿した口コミが企業にバレないようにするためにはどのようなことを心がければよいのでしょうか。本章では、企業にバレないように口コミを投稿する方法について解説します。
まず、投稿者が企業に在職していた時期や従事していた仕事の内容など、具体的な事実に触れると投稿者を特定しやすくなるため、このような内容の書き込みはしないようにしましょう。なお、「Y川さん」「H田さん」のように企業の内部者の個人名が特定されやすい言葉を含む書き込みはガイドライン違反となり削除されます。
次に、企業が犯人を特定しようと思うような、企業の権利を侵害する内容の口コミは控えるべきです。この点、転職会議の口コミガイドラインを遵守すれば、基本的に権利侵害をしてしまう心配はないでしょう。
絶対にバレたくない場合は、そもそも口コミを投稿しないという選択肢もあります。口コミを投稿する目的が他の企業の口コミを閲覧するということであれば、自分で口コミを投稿しなくても、閲覧サービス料金を支払うことにより閲覧が可能になります。
転職会議の口コミ閲覧料金は30日間で980円です。企業にバレるリスクを回避するためと考えれば高くない料金といえます。
仮に、自社に対するネガティブな口コミを見つけた場合、企業はどのように行動すると考えられるでしょうか。本章では、企業が取る可能性のある対処法として3つのパターンを紹介します。
なお、このうち企業側に投稿者の身元がバレることになるのは、3つ目の企業が投稿者を特定しようとするケースのみです。
企業が取る方法としてまず、転職会議の運営事業者である株式会社リブセンスに対する問い合わせフォームまたは内容証明郵便による削除要請が考えられます。これがプロバイダ責任制限法に規定されている「送信防止措置」にあたります。
ただし、リブセンスは同社ガイドラインに基づく投稿削除を行うことがある一方、口コミ対象の企業からの削除要請は受け付けていません。そのため企業がこの方法を取ったとしても口コミが削除される可能性は低いといえます。
次に、企業がリブセンスを相手方として、裁判所に投稿の削除を求める仮処分の申し立てを行うということが考えられます。リブセンスが送信防止措置に応じないことを知っている企業であれば、送信防止措置依頼をせず、直接裁判所に訴えることを選ぶでしょう。
さらに、企業がIPアドレスなどを取得してプロバイダを特定し、プロバイダに発信者情報開示請求をして投稿者の住所や氏名といった情報を取得することが考えられます。IPアドレス(インターネット・プロトコルアドレス)とは、スマホやPCなどネットワーク上の個々の機器に割り当てられるインターネット上の住所のようなものです。IPアドレスが取得できれば、口コミの書き込み者に辿り着くことができます。
本章では、企業が発信者情報開示請求をしてから、口コミの投稿者が特定されるまでの流れを解説します。
前章で、企業側は発信者情報開示請求によって、投稿者を特定しようとすると説明しました。サービス提供者である転職会議が発信者情報開示請求に応じれば、IPアドレスなどを含むログが企業に開示され、リブセンスが拒否したときは、裁判手続きを経てIPアドレス開示となります。
開示されたIPアドレスから、投稿者が使ったプロバイダを特定します。
投稿者が契約しているプロバイダ会社に対し、発信者情報開示請求をするのが最後の手続きです。プロバイダが開示請求に応じれば投稿者の氏名や住所などが企業に開示され、だれが書き込みをしたかが明らかになります。
なお、発信者情報開示請求の手続き上、プロバイダは発信者である投稿者の意見を聞く義務があります。発信者自身が情報開示を拒否した場合、プロバイダが自己裁量で開示することはまれです。
プロバイダが開示請求に応じないときは、企業は発信者情報の開示請求を求める裁判を起こすことを選ぶでしょう。裁判所が訴えを認めれば、やはり個人情報が開示されることになります。
すなわち、プロバイダが企業からの開示請求に応じるか、プロバイダに対する個人情報開示請求が裁判によって認められた場合は、だれが口コミを投稿したかがバレることになります。
自己に不都合な口コミを見つけた場合、企業が投稿者を特定しようとするのは責任を追及するためです。口コミにより情報漏洩・名誉毀損等の被害を受けたと判断した場合、企業は発信者である投稿者に対して、営業秘密保持義務違反、債務不履行、不法行為を理由として損害賠償を求める裁判を起こす可能性があります。
特に企業が情報漏洩や虚偽の内容の口コミによって重大な被害を受けた場合には、名誉毀損罪(刑法第230条)、信用棄損罪(刑法第233条前段)・業務妨害罪(刑法第233条後段)にあたるとして刑事告訴に踏み切る可能性もあります。
企業側が口コミ投稿者の特定といった厳しい処置を取った場合、個人で企業に立ち向かうのは非常に不利です。リブセンスから開示請求の意見照会書が届き、企業が投稿者特定に動いていることを知った場合や、問題がある投稿をしてしまったと自覚している場合は、速やかに弁護士に相談して、問題解決を目指すことをおすすめします。
アークレスト法律事務所では、ネット上で間違いを犯してしまった場合の投稿削除や企業側との示談交渉など、適切なサポートを行うことができます。事件の拡大を防ぐためにも、一人で悩まずにぜひご相談ください。