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ネットの書き込みや記事の削除における「非弁行為」とは

ネット誹謗中傷被害に遭った場合、「誹謗中傷対策業者」を利用するケースがありますが、こういった業者は「弁護士法違反」の違法業者である可能性があります。
弁護士法が禁止しているのは「非弁行為」ですが、非弁行為とはいったいどのようなことなのでしょうか?
今回はネット誹謗中傷対策を行うときに知っておきたい「非弁行為」について説明します。

1.非弁行為とは


非弁行為とは「弁護士や弁護士法人ではないものが、報酬を得る目的をもって他人の法律事務を行い、あるいはあっせんをすること」です。
「法律事務」とは、他人の法律問題について代理で交渉を行ったり調停や訴訟等の裁判手続きを行ったりすることです。
つまり、弁護士や弁護士法人(弁護士が弁護士業務を行うために設立した法人)でなければ、報酬をもらって他人や他社が抱えている法律問題に介入することができないのです。
また、自分自身が法律事務を行うことだけではなく「あっせん」も禁止されています。
そこで、他人の法律トラブルを解決するために、お金をもらって弁護士資格のない第三者を紹介する場合にも弁護士法違反となります(弁護士法72条)。

2.非弁提携とは

非弁行為に関連して「非弁提携」という問題があるので、合わせて理解しておきましょう。
非弁提携とは、弁護士が非弁行為をしているものと提携することを意味します。
具体的には、非弁行為をしている業者から事件のあっせんを受けたり「弁護士」の名義を貸して使わせたりすることが非弁行為となります(弁護士法27条)。

3.非弁行為の具体例


非弁行為には、具体的にどういったものがあるのかみてみましょう。

3-1.債権の取り立て代行業者

不良債権を抱えている人や企業から依頼を受けて、無資格で債権回収業を行うと弁護士法違反となります。合法的に債権回収を代行するためには、国によって許可を受ける必要があります。

3-2.債務整理業者(整理屋、紹介屋)

借金を抱えた人から依頼を受けて、無資格で債務整理する業者(整理屋)も非弁業者です。「弁護士を紹介してあげる」と言って債務者に近づくあっせん業者(紹介屋)も同じです。

3-3.不動産の立退き交渉を代行(賃貸人側)

不動産の賃貸借契約において、賃借人が任意に出ていかない場合に脅迫的な行動をとったり嫌がらせをしたりして立ち退きを迫る業者がいますが、こういったケースでも非弁行為となる可能性があります。

3-4.不動産の立ち退き交渉を代行(賃借人側)

不動産の賃貸借契約において、賃貸人から立ち退きを迫られた賃借人から依頼を受けて、賃貸人との間で立ち退きを諦めさせるための交渉を行う場合も、非弁行為です。

3-5.交通事故の示談屋

交通事故被害者から依頼を受けて、示談交渉を行う「示談屋」と呼ばれる人がいますが、こういった行為も非弁行為です。

3-6.離婚交渉の代行

離婚相談を受けている行政書士や司法書士などが、引き続いて相手と協議離婚の交渉の代理を行った場合、非弁行為となります。

3-7.遺産分割協議の代行

遺産分割協議書の作成の相談を受けた司法書士や行政書士などが、遺産分割協議において代理交渉を進めた場合などにも、非弁行為となります。

3-8.ネット誹謗中傷対策業者

ネット掲示板やSNSなどにおけるネット誹謗中傷が行われたとき、被害者から依頼を受けてサイト管理者と交渉をして削除させようとする業者がいます。しかし、削除の交渉は法律事務ですから、これも非弁行為に該当します。

以上のように、非弁行為の範囲は非常に広いです。基本的に「お金をもらって他人の代理人として交渉したり法律相談に乗ったりする」と、すべて弁護士法違反になると理解しておきましょう。

4.非弁行為の罰則

非弁行為が行われたときに適用される罰則は、以下の通りです。

2年以下の懲役または300万円以下の罰金刑(弁護士法77条)

業者自身が非弁行為を行った場合にも、弁護士が非弁業者と提携して事件のあっせんなどを受けた非弁提携の場合にも上記と同じ罰則が適用されます。

5.弁護士法違反にならないため、ネット誹謗中傷対策は弁護士に依頼しましょう


以上のように、弁護士ではないものがネット誹謗中傷対策を行うと、弁護士法違反になる可能性が高いです。

ネット誹謗中傷業者がサイト管理者に連絡を入れたとき、掲示板の管理者サイドにも弁護士法に関する知識があるので、サイト管理者が「違法業者から連絡が来た」と公表してしまい、かえって情報が炎上してしまうケースも多いです。このようなときには、依頼者自身にも責任が及ぶ可能性もあります。

ネット誹謗中傷削除対策を進めるときには、「記事の削除」や「投稿者の特定」などの法律業務を必要とされるので、最も適しているのは、法律の専門家である弁護士です。誹謗中傷対策業者は、そもそも投稿者の特定をすることができません。
合法的かつスピーディに名誉毀損的な記事を削除して、効果的に対策をとるため、お早めに弁護士までご相談ください。

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