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GoogleMap(グーグルマップ)に書かれた悪評口コミ・レビューの削除基準と削除依頼方法|弁護士監修記事

GoogleMap(グーグルマップ)は、無料で店舗・企業情報とあわせて営業時間や写真、口コミを掲載できるため、飲食店やクリニック、美容室、士業事務所など幅広い事業者が集客導線として活用しています。

一方で、誰でも気軽に投稿できるがゆえに、事実無根の悪評や誹謗中傷、営業に重大な影響を及ぼす虚偽の書き込みが表示されることもあります。ネガティブな口コミを放置すれば、検索結果で悪評が目立ち、来店・問い合わせの減少、採用難、取引機会の損失等の風評被害が現実化しかねません。

目次

悪質口コミが事業者に与える具体的被害(ローカルSEO・売上)

悪質な口コミを放置するリスクは「イメージダウン」だけにとどまりません。実務上、以下のような経済的損失が発生するケースが多く見られます。

  • ローカルSEO(MEO)への悪影響:
    Googleは検索順位の決定要因として「口コミの数とスコア」を考慮しています。低評価が続くと「地域名+業種」での検索順位が下落し、露出自体が減少します。
  • 来店コンバージョン率の低下:
    ハーバード・ビジネス・スクールの調査によれば、評価が星1つ下がると、売上が5〜9%低下する可能性があると示唆されています。特に新規顧客は口コミを信頼する傾向にあります。
  • 採用コストの増大:
    求職者は応募前に必ず口コミを確認します。「ブラック企業」「パワハラがある」等の書き込みは、優秀な人材の応募を阻害します。

Googleは「マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー」を定め、違反する投稿は削除対象としています。ただし、判断には一定の時間を要し、すべての申請が認められるわけではありません。とりわけ「主観的評価」や「体験に基づく感想」は残りやすく、実務上は戦略的に対応することが重要です。

そこで本記事では、削除の考え方・基準・手順、削除されにくいケースの対処法、法的手段の活用等について体系的に解説します。

GoogleMap(グーグルマップ)の口コミ機能とは

Google Map(グーグルマップ)の口コミとは、Google Map(グーグルマップ)上に表示される施設についての口コミを、Googleアカウントを保有しているユーザーが自由に投稿できる機能です。
GoogleMap(グーグルマップ)は、観光スポットや飲食店などの目的地に向かうためのルート検索のためにスマホで使われることが多く、そこに掲載される店舗情報や口コミの影響力は非常に大きくなります。

権威あるGoogleに掲載されている口コミ情報は、多くの人がレストランや飲食店などの店選びや、近くの病院や歯医者などのクリニック選びの参考にします。そして、高評価の口コミより低評価の口コミや批判口コミは、多くの人の目に触れるものです。事実無根の悪評や名誉毀損に該当する口コミも掲載されており、時には当該スポット施設の信頼を損ない風評被害を発生させる口コミも存在します。

評価方法は「5段階の星」をつける方式で、星1つが最低評価、星5つが最高評価となります。それぞれの口コミに、「いいね」ボタンが付いており、「いいね」を押された回数は、口コミの信ぴょう性を高める働きもあります。

星1つの口コミに多数の「いいね」がつけられると、その口コミがあたかも事実であるかのように錯覚されるので、イメージダウンによる風評被害は計り知れません。
また、Google Map(グーグルマップ)の口コミには「評価の低い順」に並び替える機能が付いており、誰でも簡単にネガティブな口コミの閲覧が可能です。何の根拠もない誹謗中傷等を放置しておくと、風評被害が拡大する可能性も避けられないでしょう。

自分が経営する病院・美容室・パン屋が標的になったら…

クリニックや歯医者、美容院といった、接客業においては、技術や態度などの悪評は致命的です。またパン屋などの飲食店においても、味や接客に関するネガティブな口コミは、客足に大きな影響を与えると考えられます。

【業種別】削除リスクと悪評の傾向

口コミの内容や削除の難易度は、業種によって傾向が異なります。

業種よくある被害と特徴
飲食・サービス
(レストラン・パン屋)
「味がまずい」「接客が悪い」といった主観的な感想が多く、これらは個人の好みの範疇とされるため、Googleの削除審査が通りにくい傾向にあります。
美容・サロン
(美容室・エステ)
「希望の髪型にならなかった」「肌荒れした」など、技術や結果に対する不満に加え、施術中の会話内容などが標的になりやすいです。写真付きで被害を主張されると削除難易度が上がります。
医療機関
(病院・歯科・クリニック)
「誤診された」「ヤブ医者」などの書き込みは、患者の不安を煽るため影響甚大です。医療に関する法律やガイドラインに抵触する可能性がある場合、弁護士介入による削除成功率が比較的高い領域でもあります。

このような口コミは、事実無根であるならば、名誉毀損や信用毀損などに該当する可能性がありますので、速やかに削除を求めなければなりません。

GoogleMapの口コミの使い方

病院・歯医者・美容室・飲食店・企業の悪評がGoogleMap(グーグルマップ)上で広がってしまう要因の一つに、容易に匿名での口コミの投稿が出来るという点があります。Googleは「匿名ではGoogleMap(グーグルマップ)の口コミには投稿することはできない」としていますが、実際は架空のGmailアカウントを作成することで、偽名での投稿は可能です。

GoogleMap(グーグルマップ)の口コミ削除基準とポリシー

GoogleMap(グーグルマップ)の口コミについて、Google社は「マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー」に禁止されている投稿やコンテンツについて規定しています。

投稿パターン別:削除の難易度と成功率の目安

すべての悪評が削除できるわけではありません。ポリシー違反の種類によって、削除の成功率は大きく異なります。

投稿パターン削除可能性解説
① 明らかなポリシー違反
(誹謗中傷・個人攻撃)
高い「店員の〇〇は死ね」「バカ」などの暴言や、差別的表現が含まれる場合、Googleの自動検知や報告によって比較的速やかに削除されやすいです。
② 虚偽の事実・なりすまし
(競合の嫌がらせ等)
中〜高「行っていないのに書かれた」「競合店が低評価をつけている」場合、Googleの位置情報ログ等で来店事実がないと判断されれば削除されます。ただし、来店していないことの証明は店側には難しいため、Google側の判断に委ねられます。
③ 主観的な感想・低評価
(星1つのみ、不味い等)
低い「美味しくなかった」「雰囲気が合わなかった」という個人の感想は、たとえ店側が不当だと感じても、表現の自由の範囲内として削除されにくいのが現状です。

主な削除対象となる「禁止コンテンツ」

これらに該当した投稿は、Googleが自動的に検出、もしくはユーザーからの削除依頼によって削除します。それぞれの概要を確認しましょう。

  • スパムと虚偽のエンゲージメント: 同一内容の連投や、評価操作を目的とした自作自演。
  • 実体験を伴わない評価: 実際に来店していないのに投稿された口コミ。
  • 危険な投稿、中傷的な投稿: 他人に危害を加えると脅す投稿や、個人を中傷する投稿。性別や人種などに関する差別的な投稿。名誉毀損や信用毀損に該当する投稿もこちらに含まれると考えられます。
  • 政治や社会的な主張の表明: 店舗と関係のない政治的な主張など。
  • 違法な投稿: 性的なもの、暴力的なもの、テロ関連など。
  • 利害に関する対立: 現在、もしくは過去の勤務先の口コミの投稿。過去のアルバイトが辞めさせられた腹いせにネガティブな口コミを投稿する行為は、こちらに該当しますので削除が認められる可能性があるでしょう。

削除依頼を出す前の重要準備:証拠保全

感情的になってすぐに削除ボタンを押すのは避けましょう。一度削除依頼を出し、Googleに「問題なし」と判断されると、再審査を通すのは難しくなります。また、将来的に法的措置(発信者情報開示請求)を行う場合、証拠が消えてしまうと手詰まりになります。

必ず以下の情報を保存(スクリーンショットおよびPDF化)してください。

  • 投稿内容の全文: 「もっと見る」を開いた状態のもの。
  • 投稿者のアカウント名とID: 投稿者名をクリックした先のURL(プロフィールURL)を控えます。名前を変えられる可能性があるためURL保存は必須です。
  • 投稿日時: いつ投稿されたか。
  • 店舗の固有URL: どの店舗に対する口コミか分かるように画面全体を含める。

GoogleMap(グーグルマップ)の削除依頼の手順

次に、GoogleMap(グーグルマップ)の口コミの削除依頼の手順を解説します。GoogleMap(グーグルマップ)口コミの削除依頼は、ビジネスオーナーおよび第三者による依頼が可能です。

ビジネスオーナーが削除を依頼する方法

1.Googleマイビジネスにログインする
  Googleマイビジネスにログインして、該当口コミにアクセスします。
2.「その他アイコン」から「不適切なコメントを報告」
  該当する口コミを選択して「不適切なコメントを報告」クリックします。不適切なコメントの種類 などを記載するフォームが表示されますので、不適切だと判断した基準を選んだ上で、報告しましょう。

第三者が削除依頼する方法

GoogleMap(グーグルマップ)の口コミでは、第三者が削除を依頼することも可能です。

1.GoogleMap(グーグルマップ)を開いて当該施設をタップする
2.該当する口コミを選択
3.右上の「その他アイコン」をタップして「クチコミを報告」を選択
4.メールアドレスと違反の種類を選択

【具体例】Googleマップ削除依頼フォームの書き方

Googleへの削除依頼(特に「法律に基づく削除」を申請する場合)では、論理構成が重要です。「嘘だから消してほしい」「迷惑している」といった感情論だけでは削除されません。

以下の3段構成を意識して申請文を作成することをお勧めします。

  1. 侵害されている権利の特定: (例:名誉権、プライバシー権)
  2. 権利侵害となる事実の指摘: (どの部分が事実に反するか)
  3. 権利侵害となる理由: (なぜその投稿がポリシー違反または違法なのか)

【申請文の例文:名誉毀損を主張する場合】
当該口コミにおいて「この店は賞味期限切れの食材を使い回している」との記載がありますが、これは全くの事実無根です。
当店では食品衛生法に基づき厳格な在庫管理を行っており、期限切れ食材の使用はあり得ません(証拠として在庫管理表を提示可能)。
この投稿は、虚偽の事実を摘示することにより、当店の社会的評価を著しく低下させるものであり、名誉毀損およびGoogleポリシーの「虚偽のコンテンツ」に該当するため、削除を求めます。

「削除される口コミ」と「削除されない口コミ」の違い

Googleは、ポリシーに反する投稿は削除するとしており、削除フォームを設けているものの、評価や評判に関するレビューは、削除に応じないケースが少なくありません。

項目削除されやすい(権利侵害・違反)削除されにくい(個人の意見)
内容の性質客観的な事実(True or Falseで判定可能)主観的な感想(良い・悪い、好き・嫌い)
具体例「前科がある」「無資格で施術している」「賞味期限切れを出している」
※これらが嘘である場合
「態度が悪かった」「美味しくなかった」「値段が高いと感じた」「待ち時間が長くてイライラした」
Googleの判断ポリシー違反(虚偽、中傷)として削除対象「体験に基づく個人の感想」として保護される

例えば、「ここのパンはまずい」という投稿がある場合、虚偽であるかどうかは、Googleは判断できません。第三者やビジネスオーナーが反論したところで「おいしいこと」は立証できません。そういった事から、味や体験に関する評価や評判は削除されにくい傾向にあります。

削除が認められるまでには時間がかかる上に確実ではない

Googleには日々膨大な削除申請が送られており、1つ1つについて削除するかどうかが判断されておりますので、削除が認められるまでにはある程の時間を要します。
前述したように、体験に基づく主観的評価は削除の対象とされないなどの傾向があり、Googleへの削除依頼は口コミ対策としては確実ではありません。

Googleに依頼しただけではGoogleMap(グーグルマップ)口コミの悪評を完全に削除することは不可能

GoogleMap(グーグルマップ)の口コミの削除は、Googleの削除基準に則って削除するかどうかが判断されます。削除基準に達しているかどうかを判断するのもGoogleですので、ビジネスオーナーや第三者による削除依頼が全て認められるわけではありません。

ただし、当該口コミが、日本の各法律に抵触している場合は、削除依頼が認められる可能性があります。

削除基準に合致しなくても削除出来る場合

GoogleMap(グーグルマップ)の口コミに書かれた根拠のない誹謗中傷や、侮蔑のコメントは刑法に違反する可能性があります。その場合は、上記の削除依頼とは別の方法で削除が認められる可能性があります。代表的なものが名誉毀損に該当するケースです。

名誉毀損罪に該当する口コミとは

刑法230条では「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する」と規定しています。これを「名誉毀損罪」といいます。
名誉毀損罪が成立するためには以下の条件をクリアしていなければなりません。

  • 事実の摘示であること・・真実を確かめることができる事柄かどうか
  • 公然と・・公共の場所、多くの人の目がある場所での発言や投稿
  • 名誉を毀損する・・社会的な評価を下げること

名誉毀損罪に問うための前提として、「事実を摘示」しているものでなければなりません。例えば「このお店のオーナーは前科者だ」という投稿は、オーナーが何かしらの犯罪で有罪になったことがあるかどうかを確認することができますので、「事実の摘示」と言えます。

また、投稿が真実であっても、対象人物の社会的評価を下げるものであれば、名誉毀損です。ただし、投稿が真実でその投稿に公共性や公益性があると認められる場合は、名誉毀損罪が成立しない可能性があります
例えば、「このお店は従業員が手を洗っておらず、年に何度も食中毒を起こしている」という投稿がある場合、これが真実であれば、公共性や公益性があると判断されて名誉毀損罪には該当しない可能性があります。
侮辱罪に該当する場合も削除の依頼が可能ですが、侮辱が悪質とまでは言えない場合には、削除依頼が拒否されることもあります。

弁護士が削除依頼する方法

GoogleMap(グーグルマップ)の口コミの削除はこれまで説明したように、削除の依頼が認められにくく、また時間を要するため、Googleの対応を待っていると風評被害が拡大してしまい、経営に大きな影響を与えてしまう可能性があります。

そこで有効になるのが弁護士による削除依頼です。弁護士による削除の方法は大きく分けて以下の2通りがあります。

Googleに直接削除を依頼する

Googleでは、該当投稿からの削除依頼だけでなく、「法律に基づく削除に関する他の問題を報告する」というフォームが用意されています。こちらは、該当口コミを指定した上で、抵触している法律の条文を引用した上で説明しなければなりません。

個人で行うことも可能ですが、抵触する法律について説明しなければならず、日頃から各種法律に携わっていなければ正しい削除依頼は困難です。
また、GoogleMap(グーグルマップ)の削除依頼は、スピードが重要ですので弁護士に依頼するのが最適でしょう。

削除が拒否された場合の次の手段(法的措置のフロー)

Googleのフォームからの削除依頼が却下された場合でも、諦める必要はありません。法的な手続きを踏むことで、解決できる可能性があります。一般的な流れは以下の通りです。

  1. 送信防止措置請求(削除請求):
    情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)に基づき、Googleに対して違法な投稿の削除を求めます。
  2. 仮処分の申立て:
    裁判所を通じて削除命令を出してもらう手続きです。通常の裁判より迅速(1〜2ヶ月程度)に決定が出ることが多く、仮処分命令が出ればGoogleは原則として削除に応じます。
  3. 発信者情報開示請求:
    「誰が投稿したか」を特定する手続きです。GoogleからIPアドレス等の開示を受け、さらに接続プロバイダ(携帯会社等)へ契約者情報の開示を求めます。
    ※法改正により「発信者情報開示命令申立」という、より迅速な非訟手続も利用可能になりました。
  4. 損害賠償請求・刑事告訴:
    投稿者が特定できれば、風評被害による売上減少分の損害賠償請求や、慰謝料請求が可能になります。また、内容が悪質な場合は、名誉毀損罪や侮辱罪、業務妨害罪として刑事告訴も検討します。

GoogleMap(グーグルマップ)への書き込みが抵触する可能性がある罪

GoogleMap(グーグルマップ)に書き込まれた根拠がない悪評は、以下の法律に抵触していることが少なくありません。

  • 名誉毀損罪・・「この美容室では客の髪を拭くタオルを洗わずに使い回している」(嘘である場合)
  • 侮辱罪・・「〇〇クリニックのオーナーは無能でヤブ医者だ」

これらの罪に該当する場合は、裁判所に削除を申し立てることができるだけでなく、警察に被害届や告訴状を提出して投稿者に刑事罰を課すと同時に、損害賠償を請求できる可能性もあります。

Googleマップ口コミ削除に関するよくある質問(FAQ)

Q. 「意見」と「名誉毀損」の違いは何ですか?
A. 「事実」に基づいているかがポイントです。「料理が冷めていた」は事実かどうかの検証が可能ですが、「まずかった」は個人の味覚(意見)です。ただし、意見であっても「オーナーは詐欺師だ」のような人格攻撃を含む場合は名誉毀損や侮辱に当たる可能性があります。

Q. 削除依頼をしてからどのくらいで消えますか?
A. 早ければ数日以内で削除されますが、Google側の審査状況により2週間以上かかることもあります。1ヶ月経過しても変化がない場合は、削除が認められなかった可能性が高いです。

Q. 何回も削除依頼を出してもいいですか?
A. 同じ内容で何度も送るのは避けましょう。スパム扱いされる可能性があります。ただし、法的根拠を変えて(例:最初はポリシー違反で申請→次は名誉毀損で申請)弁護士から再申請することで認められるケースはあります。

まとめ~解決できないときは弁護士に相談を

GoogleMap(グーグルマップ)の口コミは、容易に投稿できる上に拡散力が高く社会的影響が大きい媒体です。ですが、これまで見てきたところからもわかるとおり、誹謗中傷や根拠のない悪口が書き込まれることが少なくありません。

それらの投稿は、多くのユーザーが閲覧しますので、悪評を放置しておくと風評被害が発生して事業運営に支障をきたす可能性もあります。
現在、GoogleMap(グーグルマップ)に悪評が書き込まれている場合は、上記の削除方法で迅速に削除を依頼する、もしくは弁護士に相談して一刻も早く口コミを削除してもらいましょう。

お困りの場合には、弁護士法人アークレスト法律事務所までお問い合わせください。投稿の違法性や削除の可否を含め、しっかりと状況を確認した上で、適切なアドバイスをいたします。

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