GoogleMap(グーグルマップ)は、無料で店舗・企業情報とあわせて営業時間や写真、口コミを掲載できるため、飲食店やクリニック、美容室、士業事務所など幅広い事業者が集客導線として活用しています。
一方で、誰でも気軽に投稿できるがゆえに、事実無根の悪評や誹謗中傷、営業に重大な影響を及ぼす虚偽の書き込みが表示されることもあります。ネガティブな口コミを放置すれば、検索結果で悪評が目立ち、来店・問い合わせの減少、採用難、取引機会の損失等の風評被害が現実化しかねません。
目次
悪質な口コミを放置するリスクは「イメージダウン」だけにとどまりません。実務上、以下のような経済的損失が発生するケースが多く見られます。
Googleは「マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー」を定め、違反する投稿は削除対象としています。ただし、判断には一定の時間を要し、すべての申請が認められるわけではありません。とりわけ「主観的評価」や「体験に基づく感想」は残りやすく、実務上は戦略的に対応することが重要です。
そこで本記事では、削除の考え方・基準・手順、削除されにくいケースの対処法、法的手段の活用等について体系的に解説します。
Google Map(グーグルマップ)の口コミとは、Google Map(グーグルマップ)上に表示される施設についての口コミを、Googleアカウントを保有しているユーザーが自由に投稿できる機能です。
GoogleMap(グーグルマップ)は、観光スポットや飲食店などの目的地に向かうためのルート検索のためにスマホで使われることが多く、そこに掲載される店舗情報や口コミの影響力は非常に大きくなります。
権威あるGoogleに掲載されている口コミ情報は、多くの人がレストランや飲食店などの店選びや、近くの病院や歯医者などのクリニック選びの参考にします。そして、高評価の口コミより低評価の口コミや批判口コミは、多くの人の目に触れるものです。事実無根の悪評や名誉毀損に該当する口コミも掲載されており、時には当該スポット施設の信頼を損ない風評被害を発生させる口コミも存在します。
評価方法は「5段階の星」をつける方式で、星1つが最低評価、星5つが最高評価となります。それぞれの口コミに、「いいね」ボタンが付いており、「いいね」を押された回数は、口コミの信ぴょう性を高める働きもあります。
星1つの口コミに多数の「いいね」がつけられると、その口コミがあたかも事実であるかのように錯覚されるので、イメージダウンによる風評被害は計り知れません。
また、Google Map(グーグルマップ)の口コミには「評価の低い順」に並び替える機能が付いており、誰でも簡単にネガティブな口コミの閲覧が可能です。何の根拠もない誹謗中傷等を放置しておくと、風評被害が拡大する可能性も避けられないでしょう。
クリニックや歯医者、美容院といった、接客業においては、技術や態度などの悪評は致命的です。またパン屋などの飲食店においても、味や接客に関するネガティブな口コミは、客足に大きな影響を与えると考えられます。
口コミの内容や削除の難易度は、業種によって傾向が異なります。
| 業種 | よくある被害と特徴 |
| 飲食・サービス (レストラン・パン屋) | 「味がまずい」「接客が悪い」といった主観的な感想が多く、これらは個人の好みの範疇とされるため、Googleの削除審査が通りにくい傾向にあります。 |
| 美容・サロン (美容室・エステ) | 「希望の髪型にならなかった」「肌荒れした」など、技術や結果に対する不満に加え、施術中の会話内容などが標的になりやすいです。写真付きで被害を主張されると削除難易度が上がります。 |
| 医療機関 (病院・歯科・クリニック) | 「誤診された」「ヤブ医者」などの書き込みは、患者の不安を煽るため影響甚大です。医療に関する法律やガイドラインに抵触する可能性がある場合、弁護士介入による削除成功率が比較的高い領域でもあります。 |
このような口コミは、事実無根であるならば、名誉毀損や信用毀損などに該当する可能性がありますので、速やかに削除を求めなければなりません。
病院・歯医者・美容室・飲食店・企業の悪評がGoogleMap(グーグルマップ)上で広がってしまう要因の一つに、容易に匿名での口コミの投稿が出来るという点があります。Googleは「匿名ではGoogleMap(グーグルマップ)の口コミには投稿することはできない」としていますが、実際は架空のGmailアカウントを作成することで、偽名での投稿は可能です。
GoogleMap(グーグルマップ)の口コミについて、Google社は「マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー」に禁止されている投稿やコンテンツについて規定しています。
すべての悪評が削除できるわけではありません。ポリシー違反の種類によって、削除の成功率は大きく異なります。
| 投稿パターン | 削除可能性 | 解説 |
| ① 明らかなポリシー違反 (誹謗中傷・個人攻撃) | 高い | 「店員の〇〇は死ね」「バカ」などの暴言や、差別的表現が含まれる場合、Googleの自動検知や報告によって比較的速やかに削除されやすいです。 |
| ② 虚偽の事実・なりすまし (競合の嫌がらせ等) | 中〜高 | 「行っていないのに書かれた」「競合店が低評価をつけている」場合、Googleの位置情報ログ等で来店事実がないと判断されれば削除されます。ただし、来店していないことの証明は店側には難しいため、Google側の判断に委ねられます。 |
| ③ 主観的な感想・低評価 (星1つのみ、不味い等) | 低い | 「美味しくなかった」「雰囲気が合わなかった」という個人の感想は、たとえ店側が不当だと感じても、表現の自由の範囲内として削除されにくいのが現状です。 |
これらに該当した投稿は、Googleが自動的に検出、もしくはユーザーからの削除依頼によって削除します。それぞれの概要を確認しましょう。
感情的になってすぐに削除ボタンを押すのは避けましょう。一度削除依頼を出し、Googleに「問題なし」と判断されると、再審査を通すのは難しくなります。また、将来的に法的措置(発信者情報開示請求)を行う場合、証拠が消えてしまうと手詰まりになります。
必ず以下の情報を保存(スクリーンショットおよびPDF化)してください。
次に、GoogleMap(グーグルマップ)の口コミの削除依頼の手順を解説します。GoogleMap(グーグルマップ)口コミの削除依頼は、ビジネスオーナーおよび第三者による依頼が可能です。
1.Googleマイビジネスにログインする
Googleマイビジネスにログインして、該当口コミにアクセスします。
2.「その他アイコン」から「不適切なコメントを報告」
該当する口コミを選択して「不適切なコメントを報告」クリックします。不適切なコメントの種類 などを記載するフォームが表示されますので、不適切だと判断した基準を選んだ上で、報告しましょう。
GoogleMap(グーグルマップ)の口コミでは、第三者が削除を依頼することも可能です。
1.GoogleMap(グーグルマップ)を開いて当該施設をタップする
2.該当する口コミを選択
3.右上の「その他アイコン」をタップして「クチコミを報告」を選択
4.メールアドレスと違反の種類を選択
Googleへの削除依頼(特に「法律に基づく削除」を申請する場合)では、論理構成が重要です。「嘘だから消してほしい」「迷惑している」といった感情論だけでは削除されません。
以下の3段構成を意識して申請文を作成することをお勧めします。
【申請文の例文:名誉毀損を主張する場合】
当該口コミにおいて「この店は賞味期限切れの食材を使い回している」との記載がありますが、これは全くの事実無根です。
当店では食品衛生法に基づき厳格な在庫管理を行っており、期限切れ食材の使用はあり得ません(証拠として在庫管理表を提示可能)。
この投稿は、虚偽の事実を摘示することにより、当店の社会的評価を著しく低下させるものであり、名誉毀損およびGoogleポリシーの「虚偽のコンテンツ」に該当するため、削除を求めます。
Googleは、ポリシーに反する投稿は削除するとしており、削除フォームを設けているものの、評価や評判に関するレビューは、削除に応じないケースが少なくありません。
| 項目 | 削除されやすい(権利侵害・違反) | 削除されにくい(個人の意見) |
| 内容の性質 | 客観的な事実(True or Falseで判定可能) | 主観的な感想(良い・悪い、好き・嫌い) |
| 具体例 | 「前科がある」「無資格で施術している」「賞味期限切れを出している」 ※これらが嘘である場合 | 「態度が悪かった」「美味しくなかった」「値段が高いと感じた」「待ち時間が長くてイライラした」 |
| Googleの判断 | ポリシー違反(虚偽、中傷)として削除対象 | 「体験に基づく個人の感想」として保護される |
例えば、「ここのパンはまずい」という投稿がある場合、虚偽であるかどうかは、Googleは判断できません。第三者やビジネスオーナーが反論したところで「おいしいこと」は立証できません。そういった事から、味や体験に関する評価や評判は削除されにくい傾向にあります。
Googleには日々膨大な削除申請が送られており、1つ1つについて削除するかどうかが判断されておりますので、削除が認められるまでにはある程の時間を要します。
前述したように、体験に基づく主観的評価は削除の対象とされないなどの傾向があり、Googleへの削除依頼は口コミ対策としては確実ではありません。
GoogleMap(グーグルマップ)の口コミの削除は、Googleの削除基準に則って削除するかどうかが判断されます。削除基準に達しているかどうかを判断するのもGoogleですので、ビジネスオーナーや第三者による削除依頼が全て認められるわけではありません。
ただし、当該口コミが、日本の各法律に抵触している場合は、削除依頼が認められる可能性があります。
GoogleMap(グーグルマップ)の口コミに書かれた根拠のない誹謗中傷や、侮蔑のコメントは刑法に違反する可能性があります。その場合は、上記の削除依頼とは別の方法で削除が認められる可能性があります。代表的なものが名誉毀損に該当するケースです。
刑法230条では「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する」と規定しています。これを「名誉毀損罪」といいます。
名誉毀損罪が成立するためには以下の条件をクリアしていなければなりません。
名誉毀損罪に問うための前提として、「事実を摘示」しているものでなければなりません。例えば「このお店のオーナーは前科者だ」という投稿は、オーナーが何かしらの犯罪で有罪になったことがあるかどうかを確認することができますので、「事実の摘示」と言えます。
また、投稿が真実であっても、対象人物の社会的評価を下げるものであれば、名誉毀損です。ただし、投稿が真実でその投稿に公共性や公益性があると認められる場合は、名誉毀損罪が成立しない可能性があります。
例えば、「このお店は従業員が手を洗っておらず、年に何度も食中毒を起こしている」という投稿がある場合、これが真実であれば、公共性や公益性があると判断されて名誉毀損罪には該当しない可能性があります。
侮辱罪に該当する場合も削除の依頼が可能ですが、侮辱が悪質とまでは言えない場合には、削除依頼が拒否されることもあります。
GoogleMap(グーグルマップ)の口コミの削除はこれまで説明したように、削除の依頼が認められにくく、また時間を要するため、Googleの対応を待っていると風評被害が拡大してしまい、経営に大きな影響を与えてしまう可能性があります。
そこで有効になるのが弁護士による削除依頼です。弁護士による削除の方法は大きく分けて以下の2通りがあります。
Googleでは、該当投稿からの削除依頼だけでなく、「法律に基づく削除に関する他の問題を報告する」というフォームが用意されています。こちらは、該当口コミを指定した上で、抵触している法律の条文を引用した上で説明しなければなりません。
個人で行うことも可能ですが、抵触する法律について説明しなければならず、日頃から各種法律に携わっていなければ正しい削除依頼は困難です。
また、GoogleMap(グーグルマップ)の削除依頼は、スピードが重要ですので弁護士に依頼するのが最適でしょう。
Googleのフォームからの削除依頼が却下された場合でも、諦める必要はありません。法的な手続きを踏むことで、解決できる可能性があります。一般的な流れは以下の通りです。
GoogleMap(グーグルマップ)に書き込まれた根拠がない悪評は、以下の法律に抵触していることが少なくありません。
これらの罪に該当する場合は、裁判所に削除を申し立てることができるだけでなく、警察に被害届や告訴状を提出して投稿者に刑事罰を課すと同時に、損害賠償を請求できる可能性もあります。
Q. 「意見」と「名誉毀損」の違いは何ですか?
A. 「事実」に基づいているかがポイントです。「料理が冷めていた」は事実かどうかの検証が可能ですが、「まずかった」は個人の味覚(意見)です。ただし、意見であっても「オーナーは詐欺師だ」のような人格攻撃を含む場合は名誉毀損や侮辱に当たる可能性があります。
Q. 削除依頼をしてからどのくらいで消えますか?
A. 早ければ数日以内で削除されますが、Google側の審査状況により2週間以上かかることもあります。1ヶ月経過しても変化がない場合は、削除が認められなかった可能性が高いです。
Q. 何回も削除依頼を出してもいいですか?
A. 同じ内容で何度も送るのは避けましょう。スパム扱いされる可能性があります。ただし、法的根拠を変えて(例:最初はポリシー違反で申請→次は名誉毀損で申請)弁護士から再申請することで認められるケースはあります。
GoogleMap(グーグルマップ)の口コミは、容易に投稿できる上に拡散力が高く社会的影響が大きい媒体です。ですが、これまで見てきたところからもわかるとおり、誹謗中傷や根拠のない悪口が書き込まれることが少なくありません。
それらの投稿は、多くのユーザーが閲覧しますので、悪評を放置しておくと風評被害が発生して事業運営に支障をきたす可能性もあります。
現在、GoogleMap(グーグルマップ)に悪評が書き込まれている場合は、上記の削除方法で迅速に削除を依頼する、もしくは弁護士に相談して一刻も早く口コミを削除してもらいましょう。
お困りの場合には、弁護士法人アークレスト法律事務所までお問い合わせください。投稿の違法性や削除の可否を含め、しっかりと状況を確認した上で、適切なアドバイスをいたします。