ブログサービス「アメーバブログ(略称アメブロ)」は多くの芸能人が利用していることで知られ、国内最大級の規模を誇ります。
さまざまな情報を気軽に入手できるアメブロですが、誰でも無料で簡単に開設できてしまうため、悪意のある者が誰かを陥れる記事を大量に公開することも可能です。もしそのような被害に遭えば、著名なブログサービスだけに情報が拡散し損害が大きくなる可能性があります。
この記事では、アメブロの投稿記事で誹謗中傷や営業妨害を受けた場合の対処方法から相談先まで、詳しく解説していきます。
目次
アメブロは、株式会社サイバーエージェント(本社・東京都渋谷区)により運営されているブログ投稿サイトです。
アメブロの運営者である株式会社サイバーエージェントが2016年に発表したプレスリリースによると、国内すべてのブログ記事に占めるアメブロのシェアは約60%で、国内1位です。また、2024年の時点において、会員数は9200万人を突破しており、累計記事投稿数も28億件を超えています。さらに、16,000人以上の芸能人がアメブロで情報発信しています。
1カ月間に投稿される記事数は1,000万件に及び、その影響力はある意味でマスコミといえます。アメブロの記事をニュースソースにしているメディアもあるほどです。
またアメブロでは画像データを1TB(テラバイト)まで投稿できるので、ビジュアルに訴えたコンテンツも作成できます。
アメブロはこれだけの機能を備えながら、メールアドレスがあれば匿名でも簡単にブログを開設できてしまいます。
したがって、誹謗中傷を狙う者は、コストをかけず、相手に自分のことを知られることなく目的を達成することが可能です。
では、そもそも誹謗中傷とは何を指すのでしょうか。
誹謗中傷という言葉は、誹謗と中傷という2つの言葉が組み合わさってできています。
このうち、誹謗とは他人の悪口を言うこと、中傷とは根拠のない悪口を言い、他人の名誉を傷つけることを意味します。
たとえば、「ばか」や「消えろ」などの言葉は誹謗にあたります。また、「不倫している」などの言葉は中傷にあたります。
誹謗中傷をした場合、犯罪行為にあたる、損害賠償請求の対象となるといったことが考えられます。
もっとも、すべての誹謗中傷が犯罪行為や損害賠償請求の対象となるわけではなく、これらに当たるか否かは、法律の要件を見て個別具体的に判断する必要があります。
誹謗中傷をした場合、刑法上の名誉毀損罪または侮辱罪に当たる可能性があります。
● 名誉毀損罪(刑法230条1項)「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。」
● 侮辱罪(同法231条)「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。」
これらの条文の文言に当てはまった場合には、誹謗中傷は上記の犯罪に該当します。
また、誹謗中傷は民法上の不法行為に当たる場合には、損害賠償請求の対象となります。
● 不法行為(民法709条)「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
もっとも、誹謗中傷がこれらの法律要件に該当するか否かの判断は容易ではありません。
そこで、誹謗中傷が犯罪行為や損害賠償請求の対象にあたるかどうか迷った場合には、アークレスト法律事務所までご相談ください。
アメブロでは以下のような誹謗中傷や営業妨害が起こりうると言えます。
相手に大きなダメージを与えるために、「悪口専用ブログ」を立ち上げることができます。ここでは、誹謗中傷する対象者の氏名や住所などの個人情報を記載したり、自宅の写真を掲載したりすることも可能です。
昨今、フェイクニュースが世界的に問題になっていますが、アメブロでも嘘を書き綴ることができます。
アメブロを開設している人や企業を攻撃する場合、ブログ記事のコメント欄に悪口を投稿できます。
閲覧者から届いたコメントは、ブログの開設者(誹謗中傷の対象者)が非公開にできますが、ブログ開設者は少なくとも一度はそのコメントに目を通すことになります。それはとても不愉快なことであり、ブログを書き続けるモチベーションが低下します。
コメントを使った攻撃には、意味のない文章を入力し続ける迷惑スパムもあります。
迷惑スパムには悪口コメントとは異なる不気味さがあるので、ブログ開設者の記事執筆意欲を著しく低下させるでしょう。
サイバーエージェントでは、利用規約を設け、アメブロを使った誹謗中傷などを行わないように呼び掛けています。
利用規約の第13条では、アメブロ内での禁止事項を定めています。
その中には誹謗中傷に関する事項も存在します。以下のような内容があります。
第13条(禁止事項)
1.会員または利用者は、次の各号に定める行為または内容・表現もしくはそのおそれのある内容・表現を含む書き込みや投稿、メッセージの送信等(以下「送信等」と総称します)の禁止事項を行ってはならないものとします。
(2)他の会員や利用者、当社、その他第三者を中傷したり、名誉を傷づけたりするもの、権利を侵害するもの
①他の会員や利用者、当社、その他第三者について、誹謗中傷もしくは侮辱する、または名誉や信用を傷つける行為、表現・内容の送信等
②人種、民族、性別、信条、社会的身分、居住地、身体的特徴、病歴、教育、財産等による差別につながる表現・内容の送信等
③本人に承諾のない個人情報(ただし、一般に公開されている著名人などの情報は除く)の送信等
④第三者の商標権、著作権、著作者人格権等の知的財産権、肖像権及びパブリシティ権等の権利を侵害する、またはそのおそれのある行為、表現・内容の送信等
⑤第三者の財産、プライバシー等個人の権利を侵害する、またはそのおそれのある行為、表現・内容の送信等
個人を特定して中傷、侮辱するような内容の投稿、または個人を恐喝したり嫌がらせをしたりする目的で、個人情報を掲載するような行為はおやめください。これらの行為を意図的に行っていると判断された場合、投稿の削除等ペナルティの対象となります。
また、他の利用者から嫌がらせを受けたとしても、相手と同じような方法でやり返すようなことはおやめください。重大なトラブルに発展する前に、まずは運営局にお問い合わせをいただくか、信頼のおける方や最寄りの警察等にご相談ください。
以下のような内容を含む投稿は、他の読者に不快な思いにさせる可能性があります。このような内容を含む投稿は、削除を行う場合があります。
● 特定の個人・団体などに対する、出身・性別・民族・宗教・性的指向などを根拠とした中傷や、差別的な表現
● 過度に暴力的、残虐な表現、またはグロテスクな表現
● ポルノや性的なコンテンツ、または表現
サイバーエージェントでは誹謗中傷コメントの対策として、被害者からの問い合わせを受け付け、記事の削除などのペナルティを課すとしています。
また、犯行予告など緊急の対応が必要な場合は警察に相談するようアドバイスしています。
アメブロで誹謗中傷を受けたときの削除方法を紹介します。
アメブロにおいて誹謗中傷を受けた場合は、投稿者に削除を依頼するという方法があります。
誹謗中傷の専用ブログが開設された場合、そのブログのコメント機能を使って、ブログの閉鎖を依頼することができます。ブログの開設者が被害の重大性を認知すれば、ブログを閉鎖するように行動するかもしれません。
ただし、ブログの開設者は誹謗中傷相手からの削除要請を愉快に感じる場合もあります。その場合、被害者がブログ開設者に直接連絡すること自体が、かえって相手を喜ばせることになり逆効果となる可能性も否定できません。
投稿者に直接連絡しても誹謗中傷がやまない場合、アメブロを運営しているサイバーエージェントに削除を依頼することもできます。
「利用規約の違反報告」というページにアクセスして、必要事項を記入して削除要請をします。
被害者がサイバーエージェントに状況報告すると、サイバーエージェントが対応します。
報告する内容は、被害者が利用規約に違反していると判断したブログのURLや、規約違反の内容(誹謗中傷の書き込み、個人情報や顔写真の掲載など)などです。
ただこちらの違反報告では、サイバーエージェント側は権利者に対処内容を回答しません。
もし、サイバーエージェントからの回答を求める場合は、「権利者向け窓口」というページにアクセスすることができます。
権利者向け窓口では権利者のメールアドレスを入力します。そのため、サイバーエージェントはそのメールアドレスへ回答を送ることができます。
権利者向け窓口の対象となる被害は、誹謗中傷の他に、ブログに権利者の著作物が掲載された場合も含まれます。
サイバーエージェントに違反報告をしても、対象記事が確実に削除される保証はありません。また、権利者向け窓口であっても、被害の該当箇所が特定できない場合や具体的な理由が不明な場合は、サイバーエージェントは回答しないと明記しています。
そうすると、サイバーエージェントが被害者の訴えを受理したとしても、対象のブログ記事を削除しない可能性があります。 これは、インターネット上の諸問題は放置されやすく、削除などの対応は、運営会社がどれほど被害を深刻に考えているかで変わるためです。
そこで、確実な削除の執行を求めたい場合には、インターネットによる権利侵害に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士であれば直接、サイバーエージェントの削除権限を持つ担当者にコンタクトして、誹謗中傷による被害の深刻度を正確に伝え、対象記事を削除することができます。
弁護士に削除依頼をする場合には、以下のような手順を踏むことになります。
弁護士または法律事務所のウェブサイトを検索しましょう。その際、インターネットによる権利侵害・誹謗中傷に詳しい弁護士を検索すると良いです。
弁護士には様々な専門分野があるため、誹謗中傷問題に強い弁護士または法律事務所を検索する必要があるためです。
削除依頼をする弁護士または法律事務所を選ぶ際には、以下のような点に着目するとよいでしょう。
● 弁護士または法律事務所の専門分野(誹謗中傷問題に詳しいか)
● 誹謗中傷問題を取り扱ったという実績の有無
● ウェブサイトに載っている記事の信頼性
● 料金体系や法律相談の流れ
これらの点に着目して、ご自身が信頼できそうな弁護士または法律事務所を選んでいきましょう。
法律相談をする際には、時間が限られている場合もあるため、事前に言いたいことをメモにまとめると良いです。また、証拠資料として保存したデータやスクリーンショットなどがある場合には、それらも持参するとスムーズに話を進めることができます。
法律相談をしたときに、誹謗中傷ブログやコメントを削除することを依頼することができます。削除依頼をする場合には、どのくらい時間がかかるのか、どのような流れでコンテンツを削除することになるのかなど、わからないことは事前に質問しましょう。
誹謗中傷記事を削除することはできますが。それ以外にも弁護士がとりうる法的手段があります。それは、記事の投稿者を特定して、慰謝料を請求するというものです。
誹謗中傷記事の投稿者を特定して、慰謝料を請求するには、いくつかの手順を踏む必要があります。
誹謗中傷記事の投稿者を特定して慰謝料を請求する場合には、記事の内容が「権利侵害」にあたるかどうかを判断することになります。
これは、慰謝料請求の法的な根拠が民法715条における不法行為であるためです。そして、不法行為が認められるためには、「権利侵害」の存在が必要となります。
誹謗中傷記事の内容が民法上の不法行為における「権利侵害」に当たる場合には、アメブロの運営者に対し、投稿者の情報を開示するように請求することになります。
開示を求める情報としては、IPアドレスなどが代表的です。その際、アメブロの運営者と弁護士が交渉をする、または、訴訟を提起することが考えられます。
IPアドレスなどの情報を入手することにより、投稿者のプロバイダを特定することが可能となります。
投稿者のプロバイダを特定した後は、そのプロバイダに対して、投稿者の個人情報の開示を請求する必要があります。慰謝料を請求するには、投稿者の個人情報が必要となるためです。
投稿者の個人情報としては、投稿者の氏名、住所、連絡先などが含まれます。
個人情報の開示を請求する際には、プロバイダに交渉をしたり、訴訟を提起したりする方法があります。
上記の手順を踏んで、誹謗中傷記事の投稿者の個人情報が開示された場合、投稿者に対して訴訟を提起し、慰謝料を請求することになります。
以上が、誹謗中傷記事の削除以外に弁護士のとりうる法的手段の大まかな流れとなります。
この記事では、アメブロでの誹謗中傷記事を削除する方法について解説しました。
以下に今回の記事のポイントをまとめましたので、参考にしてください。
● アメーバブログは国内シェア1位のブログ投稿サイトであり、気軽にブログを開設できるため、誹謗中傷の被害も多い。
● 誹謗とは他人の悪口を言うこと、中傷とは、根拠のない悪口を言い、他人の名誉を傷つけること。
● サイバーエージェントでは誹謗中傷コメントの対策として、被害者からの問い合わせを受け付け、記事の削除などのペナルティを課すとしている。
● 誹謗中傷記事の削除方法として、投稿者に直接依頼する方法、サイバーエージェントに削除依頼する方法、弁護士に削除依頼する方法がある。
● 弁護士に依頼する場合、記事の削除のほかにも慰謝料請求などを行うこともできる。
● 弁護士に依頼するなら、インターネットの誹謗中傷問題に強い弁護士を探したほうが良い。
アメブロで誹謗中傷の被害にあった場合には、適切な方法で記事の削除依頼をして、対処していきましょう。
誹謗中傷記事の削除依頼については、弁護士に依頼することをおすすめします。その際には、インターネットの誹謗中傷問題に強い、アークレスト法律事務所へぜひご相談ください。インターネットの誹謗中傷に関する専門家である弁護士が、丁寧かつ迅速に対応させていただきます。