ネット上で風評被害に遭ったら、早急に問題の記事を削除させる必要があります。
そのために「風評被害対策業者」を利用する場合がありますが、こうした業者は弁護士法違反の違法業者である可能性が高いので、利用すべきではありません。
違法な風評被害対策業者を見分けるには、どのようなことに注意したら良いのでしょうか?
今回は、風評被害対策業者の違法性と、問題のある業者の見分け方をご説明します。
目次
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ネット誹謗中傷対策業者(風評被害対策業者)は、「弁護士法」違反をしていることが多いです。このとき問題になるのは、弁護士法の定める「非弁行為」です。
非弁行為とは、弁護士資格のないものが、報酬を得る目的で他人の法律事務を行うことです。
ネット誹謗中傷業者は、依頼者の代理人となって報酬をもらってサイト管理者と交渉などの法律事務を行うので、弁護士法違反となってしまうのです。
弁護士法違反の非弁行為は犯罪行為であり、罰則も適用されます。罰則の内容は2年以下の懲役刑または300万円以下の罰金刑となっており、相当重いです。依頼した人も共犯として責任を負わされる可能性もあるので、注意が必要です。
実際には、ネット誹謗中傷対策業者が堂々と営業していることも多く、「違法性」を意識しないまま記事削除を依頼してしまう方も多くおられます。風評被害対策の現場では、弁護士法違反のネット誹謗中傷対策業者が横行しているので、常々問題視されてきたのです。
過去に風評被害対策業者が弁護士法によって禁止されている「非弁行為」と判断された事件をご紹介します。
2017年2月「個人情報削除」を代行する業者に情報の削除を依頼した男性が、業者に対して支払った代金の返還を求めました事例の判決が出ています。その裁判で東京地裁は、「削除代行」の権限は弁護士以外のものには認められないとして、業者の行為を「非弁行為」と判断し、業者に対して支払い済みの代金約50万円の返還を命じました。
(東京地裁2017年2月21日)
このように、ネット誹謗中傷業者の行為が「非弁行為」とされると、刑罰を科される可能性があるだけではなく、依頼者は民事的に代金返還請求できる可能性があるということです。この知識は、万一ネット誹謗中傷対策業者を使ってしまったときに役立つ可能性があるので、是非ともおぼえておきましょう。
それでは、ネット誹謗対策業者は100%違法なのでしょうか?ネット誹謗中傷対策業者として、どこまでであれば非弁行為にならず許されるのか、その境界線をみてみましょう。
弁護士法で禁止される「非弁行為」は、報酬をもらって、代理交渉などの他人の法律事務を行う行為です。
そこで、「直接交渉するわけではないから法的に問題がない」と言い訳する業者があります。
しかし、弁護士法では、交渉の方法は直接かどうかを問いません。メールや電話、書面のやり取りなどによっても交渉をすれば「他人の法律事務」となりますので、非弁行為です。
次に、被害者本人の名前を使ってサイト管理者等に連絡をする業者もあります。たとえば被害者名を使ってフリーメールのアカウントなどを作り、そこからメール送信するパターンです。しかし、被害者本人の名称を使っていても、実際に交渉を行うのは業者ですから、弁護士法違反であることに変わりありません。
さらに「弁護士と提携しているので、弁護士法違反にならない」と説明する業者もあります。しかし、弁護士法は「非弁提携行為」も禁止しています。非弁提携行為とは、非弁行為を行っているものと弁護士が提携する行為であす。非弁提携をすると、弁護士にも処罰が下されます。そこで、「弁護士と提携しているので合法」ということにはならず、やはり弁護士法違反です。
以上のように、ネット誹謗中傷対策業者を利用すると、たいていのケースで弁護士法違反になります。
※非弁行為については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。 ネット誹謗中傷被害に遭った場合、「誹謗中傷対策業者」を利用するケースがありますが、こういった業者は「弁護士法違反」の違法業者である可能性があります。 弁護士法が禁止しているのは「非弁行為」ですが、非弁行為とはいったいどのよ... ネットの書き込みや記事の削除における「非弁行為」とは - 弁護士法人アークレスト法律事務所 |
ネット誹謗中傷業者が違法かどうか見分けるためには、以下のような点に注目しましょう。
上記のような点に該当する場合、違法業者ではないかと疑ってみた方が良いでしょう。
残念ながら現状では、弁護士法違反のネット誹謗中傷削除対策業者が横行しています。そうした業者に依頼すると、依頼者までトラブルに巻き込まれてしまうケースがあるので注意が必要です。
効果的かつ安全に、ネット風評被害対策を進めるためには、IT問題を得意とする弁護士に依頼する方法がもっとも確実であり、最善の選択と言えます。風評被害にお困りであれば、お早めに当事務所にお問い合わせください。