リベンジポルノとは、性的な画像や動画を、本人の同意なくインターネット上に公開したり、第三者に送信したりする行為です。元交際相手によるいやがらせ目的の投稿というイメージが強いかもしれませんが、実際にはネット上で知り合った相手や知人・友人によって投稿されるケースも少なくありません。警察庁によれば、令和6年(2024年)の私事性的画像に関する相談等件数は2,128件にのぼっています。
リベンジポルノは、被害が一度拡散するとデジタルタトゥーとして残ってしまう危険性が高く完全な回収が難しい上に、被害者の精神的負担も極めて大きくなります。
そのため、被害に気づいた時点で、証拠を確保し、削除請求や警察・弁護士に相談して対処することが重要になります。
この記事では、リベンジポルノ防止法とは何か、どのような行為が処罰対象になるのか、そして被害に遭ったときに取るべき対策をわかりやすく解説します。
リベンジポルノという言葉は広く使われていますが、法的にはどのような行為なのでしょうか。ここでは、リベンジポルノとはそもそもどんな行為なのかを解説します。
リベンジポルノの典型例は、性的な画像や動画を、撮影対象者の同意なくSNS、掲示板、動画サイト、メッセージアプリなどに投稿する行為です。
具体的には、性交や性交類似行為の様子を撮影した物、または衣服の全部もしくは一部を着けていない姿態のうち、性的部位などが強調されたものを指します。つまり、単に「恥ずかしい写真」というだけでなく、私生活上の性的情報として保護されるべき画像・動画が中心になります。
性的なものではない通常の写真などについては、公開されてもリベンジポルノには該当しないと考えられています(誹謗中傷や名誉毀損、肖像権の問題が生じる可能性はあります)。
リベンジポルノについては、画像や動画を公開する目的が「復讐」や「嫌がらせ」である場合だけが問題になるわけではありません。動機を問わず、本人の同意なく性的画像を公開するとリベンジポルノに該当する可能性があります。
リベンジポルノは、最初に投稿した人だけが該当するというものではありません。いったん画像がネットに出ると、保存、転載、再投稿、送信によって被害が広がりやすくなります。いわゆるデジタルタトゥーの問題ですが、違法であると知りながら第三者が拡散した場合には、投稿者本人だけでなく、提供や拡散に関与した第三者も罪に問われる可能性があります。
たとえば、友人から「この画像をばらまいてほしい」と頼まれ、事情を知りながら他人に転送したようなケースなどです。
リベンジポルノは元交際相手や元配偶者からの嫌がらせというイメージがあるかもしれませんが、実際の被害はそれだけではありません。
警察庁の統計によると、インターネット上のみの関係にある知人・友人からの被害というケースもあります。マッチングアプリ、SNS、ライブ配信、チャットサービスなどを通じて知り合った相手に性的画像を送信することでリベンジポルノの被害に遭う可能性もあるのです。
リベンジポルノ防止法とは、私的な性的画像の公開や拡散による被害を防止するための法律です。ここでは、リベンジ防止法について解説します。
リベンジポルノ防止法は、正式名称を「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」といいます。2014年11月に国会で成立した法律です。
この法律は、私事性的画像記録の提供等により私生活の平穏を侵害する行為を処罰する目的で作られています。
リベンジポルノ防止法で処罰対象となるのは、大きく分けると「投稿した人」と「提供した人」です。
この法律では、「電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数者に提供した者」と、「行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者」がそれぞれ罪に問われます。
例えば、友人から「元カノの全裸写真を拡散してほしい」と頼まれて、友人がそれに協力した場合は友人も罪に問われることになります。つまり、画像拡散の協力を求めた人、拡散に協力した本人の両方が、リベンジポルノ防止法に違反していると考えられます。
リベンジポルノ防止法第3条では「私事性的画像記録を不特定または多数の者に提供した者について、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が定められています。
また、第3条3項では「そのような行為をさせる目的で画像や記録物を提供した者について、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」が定められています。
リベンジポルノ被害は、恋愛関係にあった者同士のちょっとしたトラブルではありません。近年では交際相手だけでなく、ネット上だけの関係をきっかけに被害が生じるケースも目立ちます。ここでは、警察庁の公表データをもとに、リベンジポルノ被害の実態を確認します。
リベンジポルノの相談件数については、警察庁が統計を公開しています。
警察庁によれば、令和6年(2024年)の私事性的画像に関する相談等件数は2,128件でした。被害相談は減っておらず、リベンジポルノが今なお深刻な問題であることがうかがえます。
私事性的画像に関する相談等件数の推移
令和元年……1613件
令和2年……1690件
令和3年……1845件
令和4年……1928件
令和5年……2144件
令和6年……2,128件
統計によると、被害者は女性が多く全体の77.4%を占めています。令和6年の統計では被害者の内訳は女性が1645人、男性が481人でした。また、加害者の49.2%が元交際相手です。そして、インターネット上のみの関係にある知人・友人が24.9%となっています。「加害者が元配偶者、もしくは配偶者」というケースは非常に少なく全体の2.90%です。
このように、親密な関係にあった相手が加害者になるケースが多いのが、リベンジポルノという犯罪の特徴です。
参考:警察庁 統計 ストーカー・DV・児童虐待等
リベンジポルノの被害は「別れた恋人への復讐や嫌がらせ」だけではありません。実際には、交際関係の清算をきっかけとするものもありますが、ネット上のやり取りから画像を入手して拡散するものなど、さまざまなケースがあります。
リベンジポルノと聞いて最もイメージしやすいのが、元交際相手からの嫌がらせなどで性的な画像や動画を公開されるというケースです。
警察庁の統計でも、加害者との関係として交際相手(元交際相手を含む)が最も多くなっています。
元交際相手が撮影していた画像などが別れた後も保存されていたり、脅しの材料として使われたりするケース、そして、匿名掲示板やSNSに投稿されるケースもあります。
マッチングアプリやSNS、メッセージアプリなどで知り合った相手との間で、画像を送信した後に無断投稿されてしまうというケースもあります。警察庁の統計でも、インターネット上のみの関係にある知人・友人が加害者の24.9%を占めています。
このケースでは、一度もあったことがない相手が加害者になるということもあります。
リベンジポルノ被害に遭った場合は、スピーディーな対応が重要です。まずは、証拠を残し、削除依頼などで対策をして、発信者を特定し、必要に応じて刑事・民事の手続きを検討する必要があります。
まずは、投稿画面やURL、アカウント情報、投稿日時、やり取りの履歴などの証拠を保存しましょう。
リベンジポルノについては、投稿がすぐ削除されることもありますので、スクリーンショット、投稿されているページのURL、投稿者名、送信履歴、画像ファイルなど、できる限りの記録を残しておくことが重要です。
証拠が不足すると、削除請求、投稿者特定、損害賠償請求、刑事相談で不利になることもあります。特に「誰が」「いつ」「どこに」「何を投稿したか」が分かるようにしておきましょう。
被害画像がサイトやSNSに掲載されている場合は、運営会社や管理者に対して削除請求を行います。
リベンジポルノは拡散速度が速く削除依頼は即対応とは限らないため、削除依頼については一分一秒でも早いほうが望ましいといえます。
性的画像の無断公開や拡散は、リベンジポルノ防止法違反などの犯罪にあたる可能性があります。被害が発生している場合や、拡散を示唆する脅しを受けている場合、すでに投稿されてしまっているという場合には、警察へ相談することが大切です。
被害相談の際には、保存した証拠を持参するとよいでしょう。単に「困っている」「腹が立つ」と伝えるよりも、投稿画面、送信履歴、相手の情報を示すことが大切です。
リベンジポルノの画像や動画が匿名の掲示板やSNSアカウントに投稿されている場合は、発信者情報開示請求などを通じて投稿者の特定を進めることができる可能性があります。投稿者が特定できれば、損害賠償請求や差止め、刑事手続において有利です。
リベンジポルノは、刑事告訴や被害届提出だけでなく、民事上の損害賠償請求を検討する余地があります。投稿により精神的苦痛を受けた場合や、社会生活に具体的な支障が生じた場合には、慰謝料請求も可能です。
また、事案によっては、リベンジポルノ防止法違反だけでなく、脅迫、名誉毀損、児童ポルノ禁止法違反などに該当する可能性もあります。
リベンジポルノは、ひとりで抱え込むものではなく、第三者の助けを借りながら解決すべき問題です。
状況に応じて、警察、弁護士、民間窓口、公的窓口を利用しましょう。
すでに画像が投稿されている場合、または投稿をちらつかせて脅迫を受けている場合などは、迷わず警察に相談すべきです。犯罪にあたる可能性がある以上、警察への相談は欠かせません。
弁護士は、代理人として削除依頼などを行えるだけでなく、刑事告訴や民事の損害賠償請求などの対応、そして、そのために必要な開示請求などを総合的に行える専門家です。
まずは、何を優先すべきか冷静に整理しつつサポートを受けることができます。
セーファーインターネット協会とは、違法・有害情報の流通を防止するために設立された一般社団法人です。
リベンジポルノについても、サイト運営者への削除などの対応を促す通知を行う「誹謗中傷ホットライン」に相談ができます。無料でサイト運営者に対し、投稿の削除を促す通知を行ってくれます。
法務省では専門の相談員がリベンジポルノを含めた人権に関する相談を受け付けています。また、「みんなの人権110番(ダイヤル1番)」といった女性の人権問題に関する専用電話相談もあります。
リベンジポルノ被害では、画像が出回っているという事実だけでも強い精神的負担になります。その状態で、削除、証拠保存、投稿者特定、損害賠償、警察対応まで自力で整理するのは精神的な負担になります。ここでは、リベンジポルノの被害を受けた場合に、弁護士に相談するメリットについて解説します。
弁護士に相談することで、削除請求を急ぐべきか、先に証拠を固めるべきか、発信者情報開示を視野に入れるべきかなど、対応の順番を整理できます。弁護士であれば、刑事事件として警察に相談する部分と、民事上の請求として進める部分を切り分けながら、並行して対応できるのも利点です。
早い段階で全体方針を決められることは、大きな意味があります。
リベンジポルノ被害は、内容が極めて私的で性的なものを含むため、家族や友人に相談しにくいのが特徴です。弁護士には守秘義務があり、安心して事情を話しやすいというメリットがあります。
被害者の中には「画像そのものより、相談過程で事情を知られることがつらい」と感じる人も少なくありません。だからこそ、秘密保持が前提になっている専門家に相談できることは、実務面だけでなく心理的にも大きな支えになります。
また、弁護士の選任については依頼者の自由ですので、話しやすいと感じる弁護士を選んで相談できるのもメリットです。
リベンジポルノとは、性的画像や動画を本人の同意なく公開・拡散する行為であり、元交際相手だけでなく、ネット上で知り合った相手による被害も少なくありません。
リベンジポルノは法律で禁止されていますが、被害は毎年発生しています。万が一、リベンジポルノの被害に遭ったときは、まず証拠を保存し、削除請求、警察相談、投稿者特定、法的措置の検討を順に進めることが重要です。
そして、被害の拡大を防ぎ、適切な対応を取るためにも、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。アークレスト法律事務所は、リベンジポルノを含めて様々なネット問題に取り組んできた弁護士集団です。
もし、リベンジポルノの被害で悩んでいる場合は、安心してご相談ください。