「ダメだと思ってしまっても浮気や不倫をしてしまった」
古今東西、浮気や不倫によるトラブルは数多く発生しています。結婚しているのに配偶者以外と関係を持ってしまった、もしくは既婚者と関係を持ってしまったなどのケースでは、慰謝料を請求されるなど問題が大きくなりがちです。
しかしながら、慰謝料を支払ったからといって安心してはいけません。浮気や不倫の報復に、インターネットや職場などで暴露されてしまうことがあります。そこで今回は浮気や不倫をネットで暴露されてしまった時にやるべきこと、暴露したことで問える罪などを解説します。
浮気や不倫を暴露されるかもしれないと不安な方はこちらを参考に、ご自身の行動が書き込まれていないか確認してみましょう。
2017年末の日本でのSNS利用率は78.7%で利用者数は7216万人と言われています。多くの方がSNSを利用しているため、SNSを使った浮気や不倫の暴露等も頻繁に行われています。SNSを使った浮気や不倫の暴露は、本名やアカウント名とともにLINEのスクリーンショットなどの証拠とともに投稿されることが多く、場合によっては広く拡散してしまいます。
特に本名で登録している方が多いFacebookでの浮気・不倫の暴露は深刻です。FacebookやTwitterのシェアやリツイートによって容易に拡散できるため、想定外に広まってしまい本人の人間関係だけでなく勤務先や学校、親戚などの身内にまで知られてしまうリスクがあります。
匿名掲示板に、本名やあだ名、俗称で浮気・不倫していたことを書き込まれてしまうこともあります。SNSよりも拡散力は低いものの、利用者が多い掲示板であれば多くの人の目に触れてしまいます。書き込みが注目を集めるとまとめサイトなどに転載されて、SNSで拡散されてしまうと解決が難しい問題に発展する可能性もあります。掲示板への書き込みを発見したら、なるべく早く対策する手続きを行わなければ、浮気や不倫の暴露が一生インターネットの海を漂うことになるでしょう。
※ホスラブの匿名書き込みを削除する方法は、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。 ホスラブ(ホストラブ)とはナイトワークの話題について情報交換をするための掲示板です。匿名で投稿できるのをいいことに、特定のお店や個人の名前を出してあることないことを書かれて、悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 この記事では、ホス... 【弁護士監修】ホスラブ(ホストラブ)の書き込みを削除依頼【悪口や誹謗中傷を削... - 弁護士法人アークレスト法律事務所 |
浮気や不倫の暴露は、インターネットのオンラインの世界だけでなく会社や近所などのリアルな人間関係でも行われます。典型的なのが職場の上司への密告です。近所への張り紙やポスティングなども想定できます。
次に、インターネットやリアルな人間関係に浮気や不倫を暴露されたら、その投稿者をどのような罪に問えるのか確認していきましょう。浮気や不倫の暴露は、状況に応じて刑事罰とともに民事上の責任を問える可能性もあります。
まずは、浮気や不倫の暴露によって、投稿者に問える可能性がある刑法上の罪を確認してみましょう。
名誉毀損罪は、刑法230条で定められた犯罪です。先に条文を確認してみましょう。
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損(きそん)した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
以下の3つの条件をクリアしていれば浮気や不倫の暴露の書き込みを名誉毀損に問える可能性があります。
公然と | 不特定もしくは多数の人間の目に触れる場所。 |
事実の摘示 | 書き込みが真実かどうかは関係ない。「不倫をしている」、「浮気をした」などは事実の摘示とみなされる。「女好き」などは事実の摘示とは言えない。 |
名誉を毀損 | 社会的評価や地位を低下させること。不倫したことがばれることで、職場での立場が悪化する、などは名誉毀損と言える。 |
例えばTwitterなどのSNSに「●本 ●美は既婚者と肉体関係を持った」と書き込まれていた場合は、名誉毀損に該当する可能性があります。名誉毀損で投稿者を告訴して、投稿者が有罪になれば3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金という重い罪が課されることもあります。
※書き込みが名誉毀損に該当するかの判断基準と削除方法については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。近年はTwitterやFacebookなどのSNSやブログ、掲示板などのように、インターネット上のコミュニケーションツールが誰でも手軽に使えるようになりました。そして残念なことに、そのようなツールの書き込みの中には、特定の個人や団体の名誉毀損にあたるようなものも散... 【弁護士監修】名誉毀損に該当するネット書き込みと削除を依頼する方法 - 弁護士法人アークレスト法律事務所 |
侮辱罪は、事実の摘示がなくても公然と人を侮辱した場合に適用されるのがこちらの罪です。条文がこちら。
「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱したものは、拘留または科料に処する」
侮辱罪は、「事実の摘示」がなくても、成立する罪です。例えば「●本●美は男が大好きなだらしのない女だ」などの書き込みは侮辱罪に該当する可能性があります。
「インターネットに不倫したことを書き込んでやる」
「いますぐ不倫をやめなければ、家に火をつける」
このような言動は、脅迫罪に問えると考えられます。脅迫罪で有罪になると2年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。
名誉毀損罪や侮辱罪などで、投稿者が有罪になっても、被害にあったあなたに罰金が支払われるわけではありません。金銭的に賠償してもらいたいのであれば、損害賠償を請求しましょう。名誉毀損、侮辱罪などに該当しなくても、あなたのプライバシーをさらされたのであれば、プライバシー権の侵害として慰謝料の請求が可能になるケースもあります。
浮気や不倫をしてしまったことは、ご自身の落ち度ではありますが、だからといって名誉毀損罪や侮辱罪に該当する行為は見過ごすわけにはいきません。
投稿者に慰謝料請求したいと考える方は、まずは弁護士にご相談ください。
浮気や不倫の暴露の書き込みを発見したら、弁護士に相談しましょう。早急に削除しなければ書き込みが拡散してしまい、社会的影響が甚大になってしまいます。もちろんその前に証拠の確保も必要です。
刑事告訴や損害賠償請求を考えているのであれば、削除依頼と合わせて投稿者の特定をしたい旨を弁護士に相談してください。
弁護士が書き込みの削除申請を行うことで、個人が申請するよりも認められやすくなる可能性があるからです。また、管理者やサイト運営者が書き込みの削除に応じない場合は、削除の仮処分を裁判所に申し立てることもできます。さらに、発信者開示請求と言って書き込んだ本人の個人情報を提供するようにプロバイダに請求することも可能です。
暴露したことをきちんと償ってもらうためには、相手の個人情報が必要不可欠です。発信者開示請求を行うことで、書き込みをした本人を特定して、慰謝料請求や刑事告訴の準備を進めることができます。
※投稿者の個人情報を特定する方法については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。 前回の記事では、ネット上で誹謗中傷の書き込みをした投稿者を特定するために、サイト管理者等を特定してIPアドレスの開示を受けるところまでをお話しました。本記事では、IPアドレスの開示を受けた後に投稿者を実際に突き止めるまでの流れやその方法に... 書き込みした投稿者を特定~発信者情報開示請求の流れ~|弁護士監修記事 - 弁護士法人アークレスト法律事務所 |
浮気や不倫をしてしまったことは、決して褒められたことではありません。しかし、その行為を不特定多数が閲覧するインターネットなどに書き込むことは、違法です。
また、インターネットの書き込みは早く削除しなければ様々なサイトに転載されるなどして、収拾がつかなくなります。
浮気や不倫の事実を書き込まれたら、弁護士への相談をご検討ください。