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名誉毀損罪と侮辱罪の違いは?それぞれの事例や慰謝料相場を紹介

インターネット上で誹謗中傷を受けた場合、まず思い浮かぶのは名誉毀損罪です。ただ、名誉毀損罪は成立するための要件が厳しいため、実際には誹謗中傷が名誉毀損にあたらないことが少なくありません。

もっとも、名誉毀損罪にあたらないとしても、侮辱罪にあたる可能性は残っています。そこで、名誉毀損罪と侮辱罪の違いについて解説します。

1.名誉毀損罪と侮辱罪の違いについて


名誉毀損罪侮辱罪はいずれも、不特定又は多数の人の前で相手を誹謗中傷したことによって成立するものです。名誉毀損罪も侮辱罪も、適用される場面は非常によく似ていますが、両者の違いは具体的事実を示した誹謗中傷であるか否かという点にあります。

具体的事実を示している場合には名誉毀損罪が成立する可能性があります。これに対して、具体的事実が示されていない場合には、名誉毀損罪は成立しませんが、侮辱罪が成立することがあります。

ここでいう具体的事実とは、誹謗中傷として書かれた内容の真偽について証拠があれば判断できるものを指しています。

2.名誉毀損罪が成立する事例・侮辱罪が成立する事例


それでは、名誉毀損罪や侮辱罪が成立する事例を具体的に見てみましょう。どちらの罪にあたるかのポイントは、誹謗中傷の内容に具体的な事実が含まれているかどうかです。

2-1.誹謗中傷が名誉毀損となる事例

名誉毀損となる誹謗中傷は、具体的な事実が書かれているものです。具体的な事例としては、「会社のお金を横領した」「職場の同僚と不倫しているらしい」「あの会社はリコール隠しをしている」などといったものです。

いずれも、証拠さえあればその真偽は判断できるものです。不特定または多数の人が認識・伝播できる状況下でこれらの情報が開示された場合、社会的評価の低下につながる恐れがあるため、名誉毀損罪に該当する可能性が高くなります。

2-2.誹謗中傷が侮辱となる事例

侮辱にあたる事例とは、たとえば「性格が悪いから付き合わない方がいい」、「ブスで気持ちが悪い」、「バカだから仕事ができない」などといったものです。これらの言葉を不特定または多数の人が見聞きできる場所で言われた場合、侮辱罪に該当します。個人間のメールや誰も見ていない場所での行為については、原則侮辱罪にはなりません。

証拠によって真偽を確定できる事実は示されておらず、名誉毀損罪は成立しないものの、誹謗中傷の表現が被害者の自尊心(名誉感情)を傷つけたといえる場合には侮辱罪が成立するといえるでしょう。

上で挙げた事例はいずれも、誹謗中傷を受けた被害者は、自分のことを貶されたと感じる内容です。人の自尊心を傷つけるような行き過ぎた表現といえ、侮辱罪が成立する可能性があります。

3.名誉毀損罪と侮辱罪の慰謝料相場


名誉毀損罪や侮辱罪が成立する場合、加害者に対して民事上の責任追及として慰謝料請求をすることも可能です。もっとも、名誉毀損罪と侮辱罪のいずれが成立するかによって、慰謝料の相場には違いがあります。名誉毀損罪・侮辱罪それぞれの慰謝料相場を見てみましょう。

3-1.名誉毀損罪の慰謝料相場

名誉毀損罪の慰謝料は、10万~100万円程度となることが多いようです。もっとも、慰謝料の金額は、誹謗中傷によって被害者が実害を受けたか否か、被害者の社会的立場、誹謗中傷の悪質性などによって大幅に増減します。

たとえば、被害者が芸能人など有名人である場合や、誹謗中傷の内容が被害者に身の危険を感じさせる内容であったり、被害者が誹謗中傷によって精神的な病気になってしまったりするような場合には、数百万円の慰謝料が認められることもあります。

3-2.侮辱罪の慰謝料相場

侮辱罪は名誉毀損罪よりも犯罪の程度としては軽微なものと位置づけられています。したがって、侮辱罪が成立する場合の慰謝料相場は名誉毀損罪よりも低いことが通常です。具体的には、侮辱罪の慰謝料10万円前後にとどまることが通常です。

さらに、侮辱罪が成立するような場合であっても、誹謗中傷の内容がそこまで酷いものではないと判断されれば慰謝料請求自体が認められないこともあります。

4.名誉毀損罪や侮辱罪の告訴は弁護士に相談

名誉毀損罪や侮辱罪にあたる場合には、加害者に慰謝料請求をするだけでなく、犯罪として刑事告訴をすることも選択肢の1つです。とくに、長期間にわたり執拗に誹謗中傷を受けている場合には、今後の誹謗中傷を抑止するためにも刑事告訴をおすすめすることがあります。

名誉毀損罪や侮辱罪の刑事告訴をする場合には、弁護士に対応を依頼した方がスムーズに進むことが多いのが実情です。なぜなら、警察が刑事告訴をなかなか受け取ってくれない傾向にあるためです。

このため、刑事告訴を確実に受け取ってもらえるように、弁護士が警察に対して事実関係や証拠を適切に整理して、法的な観点から根気よく説明することが必要です。

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