逮捕歴があっても履歴書に書かなくてもよいケースと、書かなくてはいけないケースがあります。基本的には、前科か前歴かで申告義務の有無が決まりますが、職種によって異なることもあります。
また、前科があっても刑の言い渡しが効力を失った場合は、履歴書での申告は不要です。 ここでは、逮捕歴を履歴書に書かなくてはいけないケースを紹介するとともに、書かずに隠したときのリスクについて解説します。
目次
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逮捕歴を履歴書に書かなければいけないのは、前科があるときです。前科とは、起訴されて裁判で有罪判決を受けたことをいいます。起訴されても無罪だったり、不起訴だったりしたときに付く前歴とは異なります。
しかし、逮捕歴があり前科が付いていても、履歴書に書かなくてもよい場合もあります。逮捕歴を書かなければいけないのは、履歴書に賞罰を記入する欄があるときです。賞罰欄がなければ、申告の義務はありません。
自分で履歴書を用意するときは、賞罰欄のないタイプを選ぶことも可能です。その場合も、面接で逮捕歴について聞かれたら前科があることを申告する義務があります。前科があるのに履歴書の賞罰欄で申告しなかったり、面接で虚偽の申告をしたりすると、就職が決まっても内定取り消しや解雇となることがあるので注意しましょう。
逮捕歴には、前科と前歴があります。前歴が付いているときは、履歴書に賞罰欄があっても申告は不要です。
また、スピード違反で時速30㎞未満のスピード超過で罰金を支払った場合も申告はいりません。ただし、トラックやタクシーの運転手など車を扱う職種では、告知義務が生じますので気を付けましょう。
履歴書に賞罰欄がなく、面接でも逮捕歴について聞かれずにそのまま就職が決まったら、どんなリスクがあるのかを説明します。
就職後に逮捕歴がばれると、上司や同僚からの信用が落ちるかもしれません。たとえ有罪判決を受けていなくても、「逮捕された=罪を犯した」というイメージが強いからです。
履歴書に賞罰欄があったのに空欄にしたり、面接で逮捕歴について聞かれたのに嘘の申告をしたりした場合は、懲戒解雇になる可能性もあります。告知義務違反や経歴詐欺に当たるので、申告が必要なときは正直に応じましょう。
逮捕歴を隠して就職しても、隠しているという罪悪感や、ばれるのではないかという恐怖心を抱えながら働くことになります。罪悪感や恐怖感で仕事に支障が出たり、精神的な負担になったりするかもしれません。
逮捕歴を隠しながら働いてばれるリスクを考えると、最初から申告をしておく方が気持ちよく働けるかもしれません。履歴書に書かなくても、面接で事実を伝えれば、誠意として受け取ってもらえる場合もあるでしょう。
履歴書への逮捕歴の記載方法と、刑の消滅による注意点について解説します。
逮捕歴を履歴書に書くときは、刑を受けた年と月を記載します。「刑を受けた」とは、刑が確定した日です。日付までは必要ありません。
また、受けた刑罰名を書きます。たとえば、高速道路走行中に時速40㎞以上で罰金刑になった場合は、「道路交通法違反(速度超過40㎞以上)で罰金刑」です。懲役や執行猶予を書くときは、何年の判決を受けたのかも記載します。さらに、刑期を終了した場合は「刑期終了」と加えましょう。[注1]
[注1]埼玉県警察:交通違反の点数・反則金等の一覧表(その1)
交通違反の点数・反則金等の一覧表(その1) - 埼玉県警察 |
有罪判決を受けたとしても、逮捕歴の申告義務が生じない場合があります。それが、刑が消滅したときです。
刑が消滅するのは、以下のときです。
どちらも、期間中に罰金刑以上の刑に処せられていないことが条件です。上記の法律は、前科のある人がその刑に服したあとに更生を妨げることのないように作られました。刑が消滅した前科は、前歴と同じように扱われ、履歴書の賞罰欄への記載は必要ありません。[注2]
[注2]刑法(刑法三十四条の2)
http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?re=&vm=1&id=1960
逮捕歴を履歴書に書かなくてはいけないのは、前科があり、刑が消滅していないときです。例外として、車の運転手など車を扱う職種以外のスピード違反(普通道路で超過が時速30㎞未満、高速道路で超過が時速40㎞未満)は履歴書に書かなくてもかまいません。
また、履歴書に賞罰を書く欄がないときも申告義務はありません。ただし、逮捕歴を隠したときのリスクを考えると、履歴書や面接で自ら申告し、先方に納得してもらったうえでの就職が望ましいでしょう。