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風評被害の7つの実例|企業の事例から学ぶリスクを未然に防ぐ方法

SNSやネット掲示板を利用して、誰でも情報が発信できるようになった今、誰もが風評被害に遭う可能性があります。企業においては、風評被害が致命的な結果を招くこともあります。十分に対策を練っておくことが必要となるでしょう。

本記事では、過去にあった企業の風評被害の実例と風評被害を最小限に抑えるための事前対策を紹介したいと思います。

風評被害に遭った企業の実例

ここでは、まず実際に企業が風評被害に遭った事例を7つ紹介し、被害内容や企業側の対応を見ていきます。

同名の企業や商品への風評被害

「コロナ」とつく企業名・商品名に対する風評被害

2020年来の新型コロナウイルス感染症の流行とともに、「コロナ」という社名・ブランド名で営業していた会社が風評被害に遭うケースがありました。被害に遭ったのは、新潟県に本社を置く「株式会社コロナ」やメキシコ産ビールとして有名な「コロナビール」などです。新潟県のコロナは、新聞広告やマスコミへの反論を通じて、被害の回復に努めました。

類似した名前の会社が起こした事件にまつわる風評被害

2017年、和歌山の大手原薬メーカー、「山本化学工業」が解熱鎮痛剤の製造過程で安価な成分を無届けで混入して出荷するという事件を起こしています。同社は、この件で医薬品医療機器法に基づいて、22日間の業務停止命令と業務改善命令を受けました。

この報道の後、水着製造などを手がける大阪の同名の会社、「山本化学工業」にも多数の苦情・批判の電話、メールが寄せられました。その数は1週間に千件を超えたといいます。大阪の「山本化学工業」は事態の収束を図るために記者会見を行い、和歌山の会社とは一切関係がないことをアナウンスしました。

配慮に欠けた報道による風評被害

新型コロナウイルス感染症の流行に関係して、配慮に欠けた報道の被害を受けたのがパチンコ業界でした。休業要請を守らないパチンコ店があったことは事実ですが、テレビ番組の行き過ぎたパチンコ店批判は風評被害をもたらしました。パチンコ店ではクラスターが発生したことがなかったにもかかわらず、テレビのワイドショーではパチンコ店が感染症拡大の原因であるかのように論じられていたのです。

これにより、パチンコ店は危ない場所だという悪評がつきまとい、いまだに立ち直れていない状況です。パチンコ業界は、マスコミに対して客観的・公平な報道を行うように抗議しています。

原子力発電所事故に伴う風評被害

東日本大震災後に発生した原子力発電所事故の後遺症は、10年が経過した現在でもなくなっていません。今なお避難指示地域からの避難者に対する偏見は色濃く残り、福島県産の食品は放射能汚染の恐れがあるからと購入をためらう人が存在します。
福島県では、食品中の放射性物質の検査を実施し、安全基準を満たした食品を出荷しているにもかかわらず、その事実が理解されていないのが現状です。政府や福島県は、放射線に関する正確な情報・知識の発信や、福島の現状を正確に伝えるための情報発信を続けています。

デマ情報の拡散による風評被害

噂やデマ情報が拡散されて風評被害に至ることもあります。特に銀行の倒産に関する噂やデマによる風評被害は昭和初期から起こっており、近年では佐賀銀行デマメール事件が記憶に新しいところです。

ある女性が「佐賀銀行が26日に潰れるらしい」と友人26人にメールで伝えたのは、2003年12月25日のことでした。女性は人から聞いた噂をメールしたのですが、それがたちまち拡散し、総額400~500億円の預金が引き出されたり、解約されたりする事態に発展しました。

これを受け、佐賀銀行は記者会見を開いて噂を否定し、財務省福岡財務支局も同様に噂を否定するコメントを緊急で出して、事態の収束に動きました。デマを広めたとされる女性は、信用棄損容疑で書類送検されましたが、嫌疑不十分で不起訴となっています。

アルバイト従業員の不祥事による風評被害

2010年前後からアルバイト従業員による不祥事、いわゆる「バイトテロ」が社会問題として報道されるようになりました。プライベートで宿泊に来ている著名人を撮影してSNSに投稿した事例や、店舗の商品を粗末に扱ったり、食品を不衛生な状況にさらしたりして、その様子を投稿する事例が多発しました。

このようなことがあると、事件のあった店舗が閉店に追い込まれたり、フランチャイズ全店で客足が減少したり、被害は莫大なものになってしまいます。企業側はいたずらをしたアルバイト従業員に損害賠償を請求するなど、厳しい対応を取るようになってきています。

不十分な調査結果による風評被害

1996年、病原性大腸菌O157による食中毒で多くの被害者が出ました。その原因とされたのが「カイワレ大根」です。今でもO157といえば、カイワレ大根を思い浮かべる方が多いでしょう。

しかし、これは誤認でした。何を食べて、どのような症状が出たかを調べる「喫食調査」をしたのが、事件発生から10日も経った後のことだったため、調査が正確ではなかったのです。結果的に風評被害を受けたカイワレ大根農家は、国を相手に損害賠償を請求して勝訴しています。

風評被害を放置した場合のリスク

それでは、風評被害に対して何の対策も行わず、それを放置した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

企業・商品ブランドのイメージ悪化

「残業代が払われていない」とか「この商品はすぐに壊れてしまう」とかといった噂を放置しておくと、長年の努力で培った信用も瞬時に崩れてしまうものです。

売り上げの低下

信用を失ってしまうと、取引先や顧客が離れてしまうことになり、売り上げの低下につながります。

金融機関の信用の低下

経営状況についての悪評が取引先金融機関にまで伝わったとします。そうなると、金融機関は顧客の経営状態を調べ直すことになるでしょう。企業にとっては当面の資金繰りが厳しくなり、最悪の場合倒産ということもあり得ます。

離職者の増加

悪い噂が拡散した場合、そのような企業に勤めていることに対する家族からの心配を理由に優秀な人材が流出していく可能性があります。

風評被害の実例から学ぶ3つの予防策

これまで風評被害に遭った場合の実例を見てきましたが、風評被害は対応が後手に回るほど被害が拡大するので、事前に対策を練っておくことが肝心です。

ここでは、事前にできる風評被害の対策方法を解説します。

風評被害に関するガイドラインの策定

まず、風評被害が発生してしまった場合を想定して、ガイドラインを策定しましょう。風評被害が発生してしまった後に、どのように行動すれば良いのか、どのような対応を行えば良いのかをあらかじめ決めておくことが重要です。

そうすることで、実際に風評被害が発生した際に慌てることなく、速やかに行動を起こすことができ、初期対応が遅れて被害が拡大することを防ぐことにつながります。

危機管理体制の整備

風評被害発生を想定し、危機管理体制を整えておくことも重要です。どのようなリスクを誰に報告するか、どのような基準で意思決定するのか、経営陣にいつ伝えるかなどの、いわゆる「エスカレーションフロー」を作成しておくことが、危機管理体制の要になります。これは初期対応を速やかに行うためにも必要な措置です。

定期的なモニタリング

風評被害対策には、自社の発信情報の定期的なモニタリングが有効です。何が大きな炎上事案につながるか分からない時代なので、炎上しそうな動きを見つけ出しておくことが対策につながります。

また、自社の従業員や関係先の不用意な発言などをチェックしておくことも大事です。モニタリング体制を整備することで、風評被害を事前に察知し、被害を最小限に抑えることが可能になります。

風評被害対策は弁護士へ相談を

これまで見てきてたように、風評被害対策はまず自社で平時から対策をとっておくことが重要です。しかし、予想できない要因で風評被害が発生したり、ネガティブな内容の投稿が別のサイトに転載され次々に拡散していって制御できなくなったりする可能性も否定できません。

時間が経てば経つほど対策が困難になり、被害は拡大していく恐れが高くなります。風評被害が発生した際には、初期対応をしつつ、速やかにネット問題を取り扱う弁護士に相談するのが早期解決につながるといえるでしょう。

弁護士法人アークレスト法律事務所は、これまでネット上のトラブルの解決に鋭意取り組んできました。様々なケースに応じて迅速・適切な対応を提案することが可能ですので、風評被害や誹謗中傷対策にお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。

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