ホストラブ(ホスラブ)に誹謗中傷を書き込んでしまった場合、自らが特定されるのではないかと不安になるかもしれません。実は、ホスラブなどの掲示板やSNSで誹謗中傷をすると、逮捕されるケースもあります。
前科がつく事態に陥ることのないよう、個人を特定された場合の対処方法や、特定されないための対処方法を知っておくことが大切です。
ホスラブ投稿で自らが特定されるリスクと、対処方法・予防法を説明します。反対に、書き込んだ人を特定する方法についても解説します。
目次
ホスラブは他の匿名掲示板と比較しても、非常に特殊な構造を持っています。特定リスクを正しく理解するために、まずはその特性を把握する必要があります。
ホスラブは水商売・風俗業に特化しており、情報の回転が極めて速いのが特徴です。一度ネガティブな投稿がなされると、短時間で大量のレス(返信)がつき、事態が深刻化しやすい傾向にあります。
多くの掲示板では「ID」が表示され、同一投稿者の判別が可能ですが、ホスラブの多くの板ではIDが表示されません。これが「何を書いてもバレない」という誤認を生む要因となっています。
表面上は匿名でも、ホスラブのサーバーには「いつ、どの端末(IPアドレス)から、どのプロバイダを経由して」投稿されたかのログが確実に記録されています。
ホスラブに誹謗中傷を投稿してしまった場合に、どのようなリスクがあるのかを説明します。
ホスラブ投稿が原因で、相手が仕事を辞めざるを得なくなったときや、お店の営業が落ちたときは、民事訴訟になるかもしれません。
民事訴訟では、数十万円程度の損害賠償請求がされるケースもあります。相手がお店の場合は損害額も大きくなり、個人よりも慰謝料の金額が大きくなるので注意が必要です。
誹謗中傷で逮捕されるなんて、大げさだと思うかもしれません。誹謗中傷は、犯罪行為です。名誉毀損や侮辱罪で刑事事件として、告訴されるケースもあります。
また、個人の画像を無断でホスラブにアップロードした場合は著作権侵害、相手を脅した場合は脅迫罪、営業を妨害すれば偽計業務妨害にあたります。
逮捕されると前歴がつき、勾留期間が長くなると勤務先から解雇されるリスクもあります。また、逮捕後に起訴されて有罪判決を受けると、前科がついてしまいます。前科がつくと、就職するときに申告する義務が生じるなど、今後の生活に大きな影響を与えるリスクがあるので注意が必要です。
裁判所が発信者情報開示を命じるためには、投稿内容が相手方の法的権利を不当に侵害している(権利侵害の明白性)と判断される必要があります。ホスラブで特に関連が深いのは以下の3点です。
事実を摘示し、相手の社会的評価を下げる投稿です。
他人に知られたくない個人の秘密をみだりに公開する行為です。
虚偽の情報を流布し、お店の営業を妨げる行為です。
インターネット上での誹謗中傷は、名誉毀損や業務妨害などの罪に問われる可能性があります。政府もこうした違法・有害情報への対策を強化しています。
[参考:違法・有害情報への対応(総務省)]
ホスラブでの投稿がすべて特定対象になるわけではありません。裁判所は「表現の自由」とのバランスを重視するため、単なる主観的な感想や軽度の批判については、開示請求を退ける傾向があります。
| 項目 | 原則として「認められる」ケース | 原則として「認められない」ケース |
| 事実の摘示 | 「指名客に暴力を振るっている」等の具体的な虚偽事実 | 「接客態度が気に入らない」等の主観的な感想 |
| 表現の程度 | 「◯ね」「消えろ」等の執拗な攻撃・脅迫 | 「仕事ができない」「ブサイク」等の抽象的な悪口 |
| 公益性 | 私怨や嫌がらせ目的の投稿 | 店のサービス改善を求める正当な意見・批判 |
| 同定可能性 | 本名や源氏名で個人が特定可能 | 誰のことか特定できない伏せ字や隠語 |
ホスラブ投稿で被害者が情報開示請求をすると、意見照会書が届きます。意見照会書が届いたときの対処法と、届いてから慌てないための予防策を解説します。
ホスラブ投稿で自らが特定されるプロセスでは、氏名や住所などの情報が段階的に、あるいは一括で特定されます。
ホスラブは表面上は匿名ですが、サーバー側には以下の「痕跡」が記録されています。
これら複数の「痕跡」を組み合わせることで、匿名性の裏側に隠れた発信者を法的に手繰り寄せることが可能となります。
以前は「コンテンツプロバイダ(ホスラブ)」と「経由プロバイダ(携帯会社等)」に対して個別に裁判が必要でしたが、現在は改正プロバイダ責任制限法(2022年10月施行)により、「発信者情報開示命令」という一体的な手続きが可能になりました。
意見照会書には、開示の同意・不同意とその理由を記載して返信する必要があります。不同意とする場合は、投稿に違法性がないこと(真実性や公共性など)を論理的に主張しなければなりません。記載内容の不備はそのまま特定に直結するため、ネットの誹謗中傷に強い弁護士に早急に相談することをおすすめします。
ホスラブの削除基準は、一般的なSNS(XやInstagram)よりも**「業界の秩序維持」**に重きを置いています。この違いを比較形式で提示します。
| 比較項目 | 一般的なSNS (X/Meta等) | ホスラブ (Host Love) |
| 判断の速さ | 通報から数日〜数週間(AI判定が多い) | **比較的早い(24〜72時間)**が、独自の「削除ガイドライン」に基づく。 |
| 個人情報の定義 | 本名や住所の直出しを厳禁 | 源氏名でも「個人の特定」が可能なら削除対象となるケースが多い。 |
| 削除の手法 | 規約違反によるアカウント停止・削除 | 削除依頼フォームまたは弁護士による送信防止措置請求。 |
| 風評被害の捉え方 | 社会全体の「公序良俗」 | 店舗の「営業権」や「キャストの資産価値」の毀損を重視。 |
逮捕されたり裁判で争うことになったりする前に、自らが特定されないように対策をとりましょう。リスクになるようなホスラブ投稿をしてしまった場合は、すぐに削除します。
投稿の削除は、ホスラブのホームページから依頼できます。ホスラブが削除してくれない場合は、弁護士に依頼して自らの投稿を削除することも可能です。費用はかかりますが、損害賠償請求や逮捕のリスクを考えれば高くはないでしょう。 ただし、ホスラブでは発信者情報は一時的にしか保存しておらず、一般的には半年程度で削除されます。そのため、書き込みから数年経過したものは、特定されにくいと考えられます。
| 投稿タイプ | 具体的な内容例 | 開示成功率 | 難易度と法的視点 |
| 匿名暴露系 | 本名、住所、過去の職業、前科の暴露 | 極めて高い | プライバシー侵害が明白。公共性がないため裁判所も厳しく判断。 |
| 虚偽事実系 | 「枕営業を強要された」「未成年飲酒」等の犯罪指摘 | 高い | 「事実の摘示」に該当。証拠がない虚偽投稿は名誉毀損が成立。 |
| 評価・感想系 | 「接客が冷たかった」「お酒が弱かった」 | 低い | 主観的な「感想」の範囲内とみなされ、受忍限度内とされる。 |
| 噂話・伝聞系 | 「〜らしい」「〜という噂を聞いた」 | 中〜高 | 伝聞形式でも社会的評価を下げればアウト。断定を避けても特定リスクあり。 |
ホスラブの投稿者を特定するには、大きく分けて「ホスラブ運営者」と「接続プロバイダ(携帯会社など)」の2箇所に対して法的請求を行う必要があります。
まずは、投稿の「IPアドレス」と「タイムスタンプ(およびポート番号)」を入手します。
ホスラブから開示されたIPアドレスを元に、投稿者が利用していた通信会社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク等)を特定し、契約者の個人情報を請求します。
2022年10月の法改正により、ステップ1とステップ2を一つの裁判手続きで並行して進める**「発信者情報開示命令」**という新ルートが誕生しました。
| 手続きの比較 | 従来の2段階訴訟 | 改正法の新ルート |
| 裁判の回数 | 原則2回(サイト・プロバイダ別) | 1回(一本の手続きで完結) |
| 解決までの期間 | 8ヶ月〜1年以上 | 平均数ヶ月程度 |
| ホスラブでの利点 | 慎重に進められるが時間がかかる | ログが消える前にプロバイダを固定できる |
ホスラブは投稿の回転が速く、証拠が消えやすい媒体です。削除依頼を出す前、あるいは裁判を行う前に、以下の手順で確実に証拠を保存してください。
ホスラブでは、特定の投稿単体だけでなく、前後のレスを含めて保存することが不可欠です。
ホスラブは1スレッドの容量が埋まると、新しいスレッド(例:【2】や【次スレ】)へ移動します。
単なる画像だけでなく、以下の情報が画像内に収まっているか確認してください。
ホスラブで誹謗中傷を受けた際、「すぐに削除依頼を出すべきか」あるいは「犯人特定(開示請求)を優先すべきか」は、被害の状況によって異なります。以下の基準を参考に判断してください。
| 優先すべき対応 | 向いているケース・目的 | メリット | デメリット・注意点 |
| 投稿の削除 | ・現在進行形で被害が拡大している ・とにかく目立たなくしたい | 解決スピードが速い。 二次被害を最小限に抑えられる。 | 特定のための証拠(ログ)が消える可能性がある。 |
| 開示請求(特定) | ・犯人に損害賠償を請求したい ・執拗な連投を法的に止めたい | 根本的な解決(謝罪・賠償)が可能。 再発防止の抑止力が高い。 | 削除より時間がかかる。 法的手続きの費用が発生する。 |
発信者が特定された後、弁護士を通じて以下の法的措置を講じることが可能です。
投稿者に対し、誹謗中傷によって被った精神的苦痛(慰謝料)や、特定に要した弁護士費用・調査費用の全額または一部を請求します。
金銭的解決だけでなく、誠意ある謝罪を求めます。
二度と同じような書き込みを行わないよう、強力な拘束力を持たせます。
A. 原則として、書き込みから数年経過したものは特定が非常に困難です。ホスラブやプロバイダのログ保存期間は一般的に3ヶ月〜半年程度であり、その期間を過ぎると技術的な痕跡が消滅するためです。ただし、削除自体は可能な場合があります。
A. はい、認められるケースが多くあります。 前後の文脈やスレッドの内容から、特定の個人を指していると周囲が客観的に判断できる状態(同定可能性)であれば、法的に特定のリスクが生じます。
A. 証拠が消えてしまい、犯人特定ができなくなるリスクがあります。 自分で削除依頼を出し、運営がすぐに応じた場合、特定に必要な「IPアドレス」のログも同時に消える可能性があるためです。特定を希望する場合は、削除前に弁護士による証拠保全が必須です。
A. 「不同意」にしても、裁判で「権利侵害が明白」と判断されれば特定されます。 単に「嫌だ」という理由ではなく、投稿の真実性や違法性がないことを法的に主張する必要があります。この返信内容が運命を分けるため、早急に弁護士へ相談してください。
A. 調査費用の一部を「損害」として請求することが可能です。 全額が認められるとは限りませんが、近年の裁判例では特定に要した費用の相当額を相手方に負担させる傾向が強まっています。
A. はい、通用します。 ホスラブの運営実態やサーバーがどこにあっても、日本国内で権利侵害が発生している場合、日本の裁判所を通じて開示命令を出すことが可能です。
A. 殺害予告や爆破予告などの緊急性が高い事件以外、警察はすぐには動かないのが実情です。 名誉毀損やプライバシー侵害については、まず民事(弁護士)の手続きで犯人を特定し、その証拠を元に告訴状を提出する流れが一般的です。
つい感情的になってホスラブで誹謗中傷をしてしまった場合は、すぐに削除依頼を出しましょう。投稿をそのままにしていると、相手に特定されて損害賠償請求をされたり、逮捕されたりする可能性があります。ホスラブが削除依頼を受けてくれないときは、弁護士に依頼して削除交渉をしてもらうことも可能です。弁護士資格のない業者の投稿削除は禁止されていますので、必ず弁護士に相談しましょう。